その唇は過去を紡ぐ【レイ】 ページ20
…
【中世？パロ】
白髪に限りなく近い絹のような髪。
青い澄んだ瞳と、血の気のない唇、
そのまま溶けて消えてしまいそうな肌の色。
そんな彼女は独り、この異空間で彷徨っている。
*
何が何だか読めない文字で書かれた紙に覆い尽くされた部屋で、手入れをされてない髪とドレスの裾を無造作に広げたまま座り込んで、この空間から見える僅かな外を見上げていた。
｢.....いらしてたのね｣
｢お嬢様、どうぞお気遣いなく｣
｢そういうわけにもいかないのです｣
ふう、と一息。
やたらと使用人に丁寧に声かける彼女はこの城に幽閉されてしまった貴族のご令嬢で、俺はその使用人。
この城には男は厨房と俺、メイドは3人しかいない。
ただ外に出ることを禁じられて10年。言いつけを守って彼女はここを出たことがない。
｢とても、良い天気ですね｣
｢ええ.....素敵ね。 庭師の方が新しいお花を植えてくれたみたいです｣
窓を開けても？と断られ、私がやりますと歩を進めると、｢あ、｣なんて声を漏らしてたじろがれてしまう。
彼女はいつも何かに怯え、人との距離を最大限に遠ざけようとするのだ。
｢申し訳ありません。 私はこちらを開けるので｣
そう言ってくるりと背を向けると、彼女は消え入りそうな声で｢ごめんなさい｣と呟いた。
｢いえ、こちらこそ申し訳ございません｣
気にしていないと、笑みで答える。彼女はほっと息をついた。
────彼女の生い立ちは相当なものだ。
まだ魔女狩りが平然と行われた時代。
6歳にして魔女と疑われ、その白い髪に難癖をつける者がいたり、彼女より身分が上や同等の貴族には嫌がらせというにはあまりにひどい仕打ちを受けた。
根も葉もない噂に彼女は振り回され、領主様──俺の主人は、彼女をここに逃がすことを決めたのだった。
｢お嬢様、お茶の時間にいたしますか？｣
そう言うと、彼女は力なく微笑む。
彼女は6歳でここに逃げ込む前にはすっかり人間不信になってしまっていたようで、他人が手の触れられる位置に来ると怯える。
｢ではお持ちしますので、少々お待ちください｣
俺の知らないところで、どれだけのことをされてきたのか。
ドアを閉めてお嬢様が見えなくなったところで、拳を力いっぱい握りしめる。
──彼女の傷を癒して差し上げることができたなら。もっと早く雇われる身になっていたら。
なんて絵空事を並べ立てては自分の無力さを知る。
俺は彼女に、身分違いの恋をしている。
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みみず2(プロフ) - メケメケさん» わああ大変遅くなってしまい申し訳ありません！ リクエスト、ありがとうございます！ちょっとバタバタしてるので遅くなるかと思いますが書かせていただきますね！ (2021年2月26日 14時) (
レス) id: 11e4509994 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ - 初コメ失礼します！リクエストです！11歳夢主とフィルのほのぼのきゃっきゃっしているお話をお願いします！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 95611e4aea (このIDを非表示/違反報告)
みみず(プロフ) - 金魚のヒレさん» 了解しました！少々お待ちください！ コメント、リクエストありがとうこざいます！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: 11e4509994 (このIDを非表示/違反報告)
金魚のヒレ - 初見、初コメ失礼します！リクエストです。イラストレーターの夢主がレイと同居してて、夢主がライブ配信中にレイが部屋に入ってくるお話をお願いします！応援してます！ (2020年3月11日 20時) (レス) id: d57223136a (このIDを非表示/違反報告)
みみず(プロフ) - 白桜姫さん» 申し訳ないです...!! (2019年10月28日 6時) (レス) id: 11e4509994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみず x他1人 | 作成日時：2019年4月12日 20時
