青いエンジェル (ページ29)

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『やーすーくーんー！！！！』

19「A～！！！！」

何ヶ月かぶりのヤスくんの匂い。

14「あー、またやっとる」

『会いたかった～…』

19「うん、俺も。A不足で死んじゃうとこだった」

一応言っておくと、付き合ってない。
断じて付き合ってない、ハイ。

19「も～Aいないとみんなグダグダ。あ、でも1人新しい子が入って来たんだよね」

『ん？聞いとらんよ、そげな人』

19「何だっけ、あ、あ～……」

14「アガリエさん。覚えとけや」

『アガリエさん？珍しい名前やね』

19「そうそうアマビエちゃん！でも俺はA一筋だからねっ！」

『嬉しいね』

14「あれ、A会ったことあるんちゃうん？」

首を傾げれば、当該と思われる女性がこちらに走ってきた。

東江「山﨑さん！」

『……あ』

居たな、こんな子。少し前の記憶を呼び覚ませば、憧れです、と告げられた女性と顔が一致した。

東江「会いたかったです、お疲れ様でした！」

『思い出した、ホテルにおったじゃろ？』

東江「はい！」

『ふふ、こちらこそ、会えて嬉しいです』

東江「未熟ですが、頑張っていきたいと思います！」

『…で、山﨑さんて、どっちのこと？』

東江さんは一瞬ぽかんとしていたが、すぐにはっとなり、

東江「康晃さんのほうです」

と、言った。

19「え、俺？」

東江「少しお時間よろしいですか？」

にっこりと効果音でもつきそうな笑みを浮かべて手招きしている。
こういう女って意外と裏ありそうだよね、あ、失礼か。

14「……Aも気ぃつけよ」

「んぁ？何がよ」

心配そうにヤスくんの背中を見つめながら、健大はポツリともらす。

14「ん～……告白されてん、俺」

「ふぁ？」

14「何じゃその声」

「状況が呑み込めなくて」

素っ頓狂な声をあげているのは承知だ。

14「そういう目的なんかなって思うよ。そんなんされたら」

その点お前は信頼できる、と健大は言った。

「私は野球人と結婚するつもりはありませんから～。みんなと仲良しこよしそれで充分」

14「まぁ、せやな。ちょっとキャッチボール付き合って、ヤスが帰ってくるまで」

「ええよ」

ちょっと長いな。何話してるのかな。もしかして、ヤスくんも健大みたいに告白でもされてんのかな。

14「いつの間にそんなええ球投げるようになってん」

「うーん、いつの間にか」

健大は苦笑した。
ヤスくん、早く帰ってこないかな。