青いエンジェル (ページ12)

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『…練習で何本柵越える気なんだろう』

私の目の前には今、大谷翔平がいます。あの、世界のOHTANIがいます。

＊＊＊

16「大谷翔平です。よろしくお願いします」

『…』

55「…うわ」

09「オーラえぐ……」

皆すごすぎて言葉を失っちゃってるよ…

16「…あれ、俺君のこと覚えてるよ」

世界のOHTANIと目が合ったよ…

16「山﨑Aさんだよね」

『え…そうです』

待って、覚えてるんですか！？あの一夜の事を！

16「一晩中一緒だったんだもん、そりゃ覚えてるよ」

25「Aって、もしかしてタラシ……？」

『違う違うそれは断じてない』

20「帰ったら監督に言っておくね」

『クリさんそれは良くないです！』

え、語弊生まれてるじゃん。大谷さんアメリカ行って日本語弱くなっちゃったのかな？

『……あ！そうだ。クリさんありがとうございます、おかげで思い出しましたよ』

貴浩くんに電話しなきゃ。怪訝そうなクリさんの横をすり抜けて、廊下に出た。

C25[はい、新井です]

[貴浩くん………？]

貴浩くんの営業ボイス、貴重じゃん。

C25[……A？Aじゃろ。何で出んかったんよぉ！！わし嫌われたか思うたぁぁ……]

[ごめんて。携帯修理に出しとった]

後ろからとぎれとぎれ打撃音と、監督、監督ー！と呼ぶ声が聞こえてくる。カープは明日からホークス戦で、福岡に居たはず。

[え、呼ばれてるけど]

C25[あぁ、大丈夫…ちょっと待っとって！………で、わしが話したかったんは、]

[侍ジャパンの話じゃろ？タイムリーじゃの]

C25[そう。わしはやってほしいと思ってるんじゃけど、無理強いはせん]

実は、番長に伝えてから、少し悩んだ。
野球選手でもない私がいきなり日本代表？批判殺到だろう。もしかしたら貴浩くんまでその火の粉が降りかかるかもしれないとか、色々考えた。でも、お父さんのようになりたいと思ったのも事実で、その間で揺れまくって、悩みに悩みぬいた結果が

[やる。貴浩くんを胴上げしにいくわ]

受け入れる事だった。

[そのかわり、色々言われるかもしれん。でも、信じてな]

C25[当たり前じゃろ]

んじゃ、クリによろしく、という声を最後に電話が途絶えた。

『…まずは、目の前の仕事に集中、だよね』

02「Aちゃん、もうそろそろ試合だよ」

『源田さん！すみません、すぐ行きますね』

02「いいよ、焦らずね。待ってるから」

源田さんはふわりと微笑んでいる。
この笑顔、何か癒されるなぁ…源田さんといい貴浩くんといい、ヤスくんといい……私、人の笑顔に弱いのかもしれない。

『すみません！』

02「いいよいいよ。じゃあ、たっちゃんに会いに行こうか」

………たっちゃん？