【BANANA FISH】君に憧れて。シーズン２【男主】

story99 「別れの炎」 ページ50

静かになった実験室の中で、俺はショーターに近づいた。


「ショーター……」



いつも通りの服でそこに居るコイツは、今にも馬鹿みたいな笑顔で起き上がりそうで、




俺の瞳から自然と涙がこぼれた。



助けてやれなかった。



俺は‥‥‥。



「ショーター、あの時一体何を言おうとしてたんだよ」



問いかけても返事なんて返ってこない。



分かっていても、俺はその手を握り問いかけた。




『A…と……やく…そ…』



Aと何を話してたんだ。



それに、



どうして俺じゃなくてAが、お前を撃ったんだ。



お前への罪を背負うなら、アイツじゃなくて俺だろう。

なのに、どうして‥‥…？



ふと頭に巻かれた包帯が目に止まる。



包帯は、銃弾が撃ち込まれた場所を隠す様に綺麗に巻かれている。



それを見て、俺の頭に一つの可能性が見えた。



もしかして……


「Aがやったのか……？」



あぁ。もう、分からないことだらけで、頭がどうにかなりそうだ。

ショーターに何発も銃弾を浴びせたアイツが、何でこんなことをしにくるんだ。


分からない。


俺には…



涙を拭い前を向く。


「ショーター、此処でさよならだな」




お前を連れて帰りたいが、もし他の実験者の手に渡る様なことがあってはいけない。




俺はショーターの手を最後に力強く握った後、その体に火をつけた。




燃え盛る炎をジッと見つめ、俺は最高の親友との別れを静かに惜しんでいた。




その最中、シン・スウ・リンという坊主が飛び込んでき、ショーターの敵だと俺に勝負を嗾けてきた。




虫の居所が最高に悪い俺は、その坊主を蹴散らして追い出した。




炎が消えるまでだ。





その短い時間のなかで、俺はお前の事で泣くのを止める。





だから今だけは、





お前との思い出と共に、





弱い俺の涙を、





ボスにしては情けない俺の姿を、





許してくれ。





「ショーター…ありがと」









--------------okita sakura---------------
シーズン２、此処で終了となります！


続きまして、このままシーズン３に入って行きますが、この場面を書いている時、本気で泣きました。
アッシュとショーターの友情と、この悲劇の辛さに胸が締め付けられます。



ユエルンSideもなかなかに多く、主人公ともいい関係性な感じで私は割と気に入っております(笑)


皆さまが、ここまで私の作品を読んで思ったことや感想、是非お聞かせ下さると嬉しいです！

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