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story92 「銃弾の音と」 ページ43

どうしてお前らのそんな姿を見なければいけないんだ。



ショーター……。



どうして……。



「ショーター英二だよ!分からないの?お願いだ」

「うわぁぁあああ!!!」




マックスと伊部の声が聞こえる、




必死にショーターに呼びかける傷だらけの英二の姿が見える、




苦痛に歪んだ表情でナイフを振るうショーターの姿が俺の前を横ぎる、





止めてくれ。




どうして、




「止めくれ‥‥…止めくれ…‥‥」

「フッ最高のショーだぜ」




今まで俺の隣に居て、




ずっと俺を信じてくれたショーター。




俺の大事な仲間であり、




友人であり、




兄弟みたいな存在だった。




なのに、そんなお前が‥‥どうして……




「そろそろ時間だ。終わらせろショーター」

「止めろ、ショーター……」




悲痛に満ちた声と共にショーターがナイフを振りかざす。




「ショータァァァァアァ!!」





拘束され、何も出来ない俺はただ友の名を呼んだ。





その声に、まるで反応するようにショーターの動きが止まる。




ショーター……。




俺の方を振り返ったショーターは、おぼつかない足取りで俺に近づく。



そして近くまで来て、苦し紛れの声で絞り出すように言葉を紡いだ。




「おれは……お前じゃ‥‥だめ…だ……A…Aを…」



途切れる様に言葉を並べるショーター。





Aがどうしたっていうんだ。





どういうことだ。




「ショーター、どういうことだ。Aが何だよ」

「A…と……やく…そ…「ショーター!お前の敵は此処だ!」」



言葉の最後がオーサーによって遮られる。




始めと同じ我を失った表情へと戻るショーター。




「ショーター!何て言ったんだ!ショーター!」




そして、我を失ったショーターはまた英二に襲い掛かる。



もう止められない。



ただ見ている事しか出来ない俺の前にオーサーが銃を持って笑いかける。




「弾は一発きりだ。忘れるなよ」




そして銃を床に置き、離れた所でショーターが英二に跨りナイフを振り上げている姿が目に入る。




「やめろぉぉぉ!」



俺の叫び声と共に腕の鎖が緩められ、俺は飛びつく様に銃を拾い構えた。




だが、




「ショータァァァァア!!」



聞きなれた声と共に、俺のモノでは無い銃声が鳴る。




英二に跨っていたショーターが、力なく倒れる姿がスローモーションの様に俺の目に映った。

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あーー(プロフ) - 更新うれしいです!!次の更新も楽しみにしてます!!!!! (2020年6月24日 18時) (レス) id: a1e0615f33 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - リフリフさん» そう言って貰えると凄く嬉しいです!BANANAFISHの沼に体全体で入り込んでしまった民なので、この作品を書けて凄く嬉しいんですよ!いつも応援本当にありがとうございます! (2020年6月23日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
リフリフ(プロフ) - いつも素晴らしい投稿ありがとうございます。いつも作品楽しんで見させて頂いてます。!次回の投稿もとても楽しみです!作品制作頑張ってください! (2020年6月23日 18時) (レス) id: dbff0995a0 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - 恋雪さん» なんと!胸が高鳴るのは、嬉しいお言葉です!!BANANAFISHを知っている人が私の周り少ないので、こうして小説を読んで下さる方がいて、とても嬉しいです!ありがとうございます! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - しおさん» 何度も読み返して下さっているとは!感激で涙が出ます!主人公とアッシュのこれからを是非お楽しみ下さい! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田さくら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年4月30日 19時

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