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story54 「迷い」 ページ5

宿舎に着いてから、アッシュは英二を伊部ちゃんの元に帰らせようと説得をしている。


だが、そんなアッシュの言葉に耳を傾けない英二は首を縦にはふらないでいた。



「伊部の元に帰れよ。きっと心配してるぜ」

「きっと、もっと心配かけることになっちゃうな。僕は確かに何もできないし、君達の足手まといかもしれないけど、今放り出して帰ったら、ずっとダメなままだって気がして……」



部屋の隅で英二の言葉の意味が何となくだけど、理解できた。


英二はずっと、怪我で飛べなくなったことを引きずってる。


”無理”だと思い込んで、陸上を諦めたことを後悔してるんだ。



そして、英二はアッシュとショーターに棒高跳びをしていた頃の話を始めた。


棒高跳びは俺にも関係ある話だから、あまり此処に居たくないな。



俺は立ち上がり、話の邪魔にならないようそっと部屋を出たのだった。



〜英二side〜

話を始めてすぐ、Aは部屋を出て行った。


一緒に住んでいる時から、いや、それより前からAはこの話になると何時も背を向けた。



「Aも同じ選手で、僕達はそこで仲良くなったんだ。ただ、僕はもう飛べない」

「何で?飛んだじゃねぇか。俺とスキップの目の前で」

「そういうことじゃなくて、つまり選手としてってこと」



高く高く聳え立つ、あの棒を目の前にすると足が竦んで、怪我をした時のことがフラッシュバックする。


怪我は治ってる、本当は飛べるはずなんだ。


でも、弱い自分だから飛べない。



「それで、落ち込んでた僕を伊部さんとAがアメリカに連れて来てくれたんだ。だから僕は、途中で放り出すのは、もう止めにしたい」


きっと、Aだってそう思ってる。


「でも、アイツは?Aも選手なんだろ?」


目の前に座るショーターがドアを指さし僕を見る。


「Aも僕と同じで怪我をしたみたいなんだけど、詳しい事は僕も伊部さんも知らないんだ」

「知らない?」

「何度か聞いてはみたけど、何時も冗談ばかりではぶらかされるんだ」


僕だけじゃなく、Aの為にも此処で帰る訳にはいかない。


少しでもお互いが変われる状況を作っていかないと。



「だから、変わるためにも何が起こるのかこの目でちゃんと見ておきたいんだ」

「あとは、お前次第だぜ。アッシュ」

「………少し考える」




そう言ったアッシュは、立ち上がり静かに部屋を出て行った。

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あーー(プロフ) - 更新うれしいです!!次の更新も楽しみにしてます!!!!! (2020年6月24日 18時) (レス) id: a1e0615f33 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - リフリフさん» そう言って貰えると凄く嬉しいです!BANANAFISHの沼に体全体で入り込んでしまった民なので、この作品を書けて凄く嬉しいんですよ!いつも応援本当にありがとうございます! (2020年6月23日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
リフリフ(プロフ) - いつも素晴らしい投稿ありがとうございます。いつも作品楽しんで見させて頂いてます。!次回の投稿もとても楽しみです!作品制作頑張ってください! (2020年6月23日 18時) (レス) id: dbff0995a0 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - 恋雪さん» なんと!胸が高鳴るのは、嬉しいお言葉です!!BANANAFISHを知っている人が私の周り少ないので、こうして小説を読んで下さる方がいて、とても嬉しいです!ありがとうございます! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - しおさん» 何度も読み返して下さっているとは!感激で涙が出ます!主人公とアッシュのこれからを是非お楽しみ下さい! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田さくら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年4月30日 19時

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