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story70 「過去の話」 ページ21

話が終わる頃には、もう外は暗くなっていた。


俺達は、お礼を言って家へと戻ろうと店を出たのだが、何故だか俺だけが親父さんに呼び止められてしまった。


英二が「一緒に居ようか?」と言ってくれたが、俺はそれを断りどういう流れか親父さんと二人っきりで話をすることになった。



「あの…」

「お前も過去に何かあったのか」



そう言われ心臓がドクンと音をたてた。



「何か…とは」

「さっきの話を聞いている中で、お前だけ随分と反応が違ったからな」



この人の動体視力は一体どうなっているんだろう。


ただ、俺を見る彼の視線には疑いや険悪感など無く、ただ純粋に心配の色が滲んでいた。


アッシュの話を聞かせて貰ったんだ。


もう二度と会うことも無いんだし…。



もしかしたら、これはただ弱音が吐きたいだけなのかもしれないけど…。



「昔の俺には何も無かった。家族も、愛情も、感情さへも普通のモノが何一つ無かった」



空気のように生きて、誰にも関わらず、ただ静かに。



色のない景色を見ながら、流れるだけの日々を過ごしていた。



「誰かに愛される温かみ、興味から生まれる好奇心、悲しみ、憎しみ、恐怖。人が持っていて当たり前のモノが、あの頃の俺にはなかった。けど、ある人と出会って俺は変わった。その人の生き方が、考え方が、その人の全てが何も無い俺には眩しく見えた」



画面越しだと忘れてしまう程、アッシュの存在は俺の人生に色を付けてくれた。



「その人の役に立ちたいと思った。幸せになってほしいと願った。もしかしたらそれは、彼の人生が少し自分と似ていると思ったからなのかもしれない」


誰にも愛されない人生が。


「でも今日、それが違うってことが分かって嬉しかった」


この人はアッシュのことを考えて、悪者役を買って出たのだと知れたから。


「お前に言う”ある人”とは…」

「…その顔だと分かってるんだろ?人が悪いよ、おじさん」

「まさか…な」


苦笑いを浮かべながら、俺は親父さんを見た。


「アッシュは誰よりも優しい人だ。凄く心の綺麗な人だ。俺は、あの人の人生を必ず幸せにすると決めた。その覚悟がある。だから、その為にも俺はアンタたちの事も守るよ」

「ん?何を言って……」


俺は親父さんの腕を掴み部屋の中へとぶち込む。



「ジェニファ!アンタも部屋の中に!」


俺は腰から銃を出し、カウンターの中に隠れる。



「この人数…、皆が来るまで持ちこたえれるかな……」

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あーー(プロフ) - 更新うれしいです!!次の更新も楽しみにしてます!!!!! (2020年6月24日 18時) (レス) id: a1e0615f33 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - リフリフさん» そう言って貰えると凄く嬉しいです!BANANAFISHの沼に体全体で入り込んでしまった民なので、この作品を書けて凄く嬉しいんですよ!いつも応援本当にありがとうございます! (2020年6月23日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
リフリフ(プロフ) - いつも素晴らしい投稿ありがとうございます。いつも作品楽しんで見させて頂いてます。!次回の投稿もとても楽しみです!作品制作頑張ってください! (2020年6月23日 18時) (レス) id: dbff0995a0 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - 恋雪さん» なんと!胸が高鳴るのは、嬉しいお言葉です!!BANANAFISHを知っている人が私の周り少ないので、こうして小説を読んで下さる方がいて、とても嬉しいです!ありがとうございます! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - しおさん» 何度も読み返して下さっているとは!感激で涙が出ます!主人公とアッシュのこれからを是非お楽しみ下さい! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田さくら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年4月30日 19時

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