story60 「手作り」 ページ11
「こんな時に何だよ」
「こんな時だからこそだよ!そんな怖い顔してたらダメだってー!」
いつもの調子で笑っているAの姿に何故か俺まで釣られて笑ってしまう。
コイツのこの空気読めないところ、案外嫌いじゃないんだよな。
「あ、因みにだけど。当たりだった左には、俺の手作りクッキーが入っていました!」
そう言って「ジャジャーン」と自分で言いながら袋に入った菓子を見せてくる。
手作りクッキーって……
「女子かよ」
「うるさいわ!まぁ、外れを引いたアッシュ君はティッシュで我慢してください!それじゃ、俺はショーターの所に行って来るー」
そう言って俺に背を向け歩き出そうとするA。
まさか、そのクッキーをショーターにやるんじゃないだろうな。
「おい、その菓子はどうするんだよ」
「え?ショーターにあげる」
「やっぱりか……」
俺は、Aに近づき手を差し出した。
そんな俺の態度に首を傾げ、頭に?を浮かばせるA。
「それ、俺にくれ」
「え、シンプルにやだ」
「はぁ?!なんでだよ!さっき俺にやるつもりだったんだろ!」
「さっきはそうだけど、今は違う」
意味が分からない。
この数秒で心変わりするってなんだよ。
そんな言い合いをしていると、準備を終えたショーターがトラックを動かし始める。
「ッチ、時間か」
俺は銃を腰に直し、トラックの方へと歩いて行く。
「アッシュ、口開けて」
「は?」
テクテクと隣を歩くAが袋の中からクッキーを出し俺の口元へと運ぶ。
「自分で食える」
「いいから、お兄ちゃんに甘えろよ!アッシュ」
カッコつけて、そんなことを言ってるが、きっとコイツなりに心配しているんだろう。
「はいはい、ありがとうオニイチャン」
クッキーを食べ頭を撫でてやると、Aは嬉しそうに頬を緩ませた。
今日で全部片づけて、Aや仲間と過ごす時間をもっと作ろう。
そんな決心を胸に秘めながら、俺はトラックの後ろに飛び乗り目的地へと向かった。
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あーー(プロフ) - 更新うれしいです!!次の更新も楽しみにしてます!!!!! (2020年6月24日 18時) (レス) id: a1e0615f33 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - リフリフさん» そう言って貰えると凄く嬉しいです!BANANAFISHの沼に体全体で入り込んでしまった民なので、この作品を書けて凄く嬉しいんですよ!いつも応援本当にありがとうございます! (2020年6月23日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
リフリフ(プロフ) - いつも素晴らしい投稿ありがとうございます。いつも作品楽しんで見させて頂いてます。!次回の投稿もとても楽しみです!作品制作頑張ってください! (2020年6月23日 18時) (レス) id: dbff0995a0 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - 恋雪さん» なんと!胸が高鳴るのは、嬉しいお言葉です!!BANANAFISHを知っている人が私の周り少ないので、こうして小説を読んで下さる方がいて、とても嬉しいです!ありがとうございます! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
沖田さくら(プロフ) - しおさん» 何度も読み返して下さっているとは!感激で涙が出ます!主人公とアッシュのこれからを是非お楽しみ下さい! (2020年6月20日 19時) (レス) id: 43edebc781 (このIDを非表示/違反報告)
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