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「先輩達にも言ってないの？」
「あぁ」
「呼んでくる」
くるりと振り返って来た道を戻ろうとすれば、「A」と甘くて優しい声が背後から伝って身体中を麻痺させる。
「ありがとう」
また、目の奥がツンとするから。
振り向こうか迷って辞めた、私の影に照の影が重なって、たったそれだけの事にドクドクと脈が暴れて落ち着かない。
「それと。あれは、夢じゃないよな」
ドキリとして反射的に振り向いてしまえば、思ったよりも近い距離に数歩後ずさってしまう。
「…ゆ、ゆめです、あれは夢」
「何も言ってないのに夢って事は分かるんだな」
「……起きてたの？」
「寝てた」
「…なんなの、」
くく、と口元を抑えるようにして笑う姿が新鮮で、見とれてしまいそうになるが恥ずかしさが優って素直に見る事が出来ない。
「A」
もう一度、彼の声が身体中を巡って痺れさせる。
右手の人差し指で左側の顎をかく彼が、少し照れているのだと気付いても下がってしまった数歩を元に戻すには勇気がいった。
「…夢って事で、いいの」
こんな風に、まっすぐじっと見つめられるのは初めてだ。
その瞳に映りたいと、何度も願ってきたのだという事、彼はきっと知らない。
「……よく、ない」
いつの間にか空いた距離は埋まっていて、伸びてきた手が頭に触れた。
無闇に腕に触れないのは、きっと彼の優しさで。
そのまま引き寄せられて、吸い込まれるように彼の胸へと倒れ込む。
反対の手が背中を丸ごと包んで、あぁ私は、彼の匂いや体温にこんなに安心してしまうのだな、と思った。
「夢じゃなければ、いいって思ってた」
「…昨日は、何もなかったような顔してた」
「…あいつらの前じゃ言えないだろ」
「……ふふ。…すき」
ぎゅ、と腕に込められた力はきっと、彼なりの応えなのだろう。
交わった体温はそのまま、心の奥まで全てを溶かしていく。
ふと緩まった力に期待して、そっと顔をあげれば柔らかい色の瞳にハッキリと私が映っていた。
安心して目を閉じれば、彼の匂いがもっと近くで香る。
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バンビ(プロフ) - みおさん» みお様、コメントありがとうございます。そんな黄色には、やっぱり照くんがぴったりかなと思いました。笑 今後もよろしくお願いします。 (2022年5月29日 18時) (
レス) id: e7c2832e99 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 移行おめでとうございます ！ 先程、黄色の持つ意味？と言うものを調べていたのですが、黄色には【注意，警戒，好奇心】などと書いていて、鳥肌が立ちました 笑 これからも応援しています ！！ (2022年5月29日 9時) (レス) id: 64d4d7fd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2022年5月22日 12時
