012 ページ7
あれから一ヶ月程が経った。
編入生も私も、新たな環境に慣れていた頃だった。
少しの違和感に気づいたのは。
ヘレナはクラスに溶け込み、今では男子生徒に混じってランチを食べるほどだ。
クラスメイトから彼女に向けられる心情がどんなものかはわかりかねるが、彼女自身は居心地が良さそうだった。
そんな彼女と対照的に、私はクラスから何処か浮いた存在になっている気がしていた。
明確に避けられているわけではないけれど、一本線引かれたような。
『デュース、またグリムと図書館で勉強会するんだけど。今日こそ一緒に来ない？』
「すまない、今日は用事があるんだ。また誘ってくれ」
『了解、じゃあまた明日ね』
うーん、この会話今週で何回目だろう。
私もしつこいかな。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
『隣同士でペアだってさ。よろしくね？』
「え？あぁ、よろしく。……はぁ」
ため息吐かれましたけど！
露骨すぎない？
確かに私、ペアとしては頼りないかもけどさぁ。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
「おい監督生、エースが今日お前日直じゃないのだってさ」
『了解〜ありがと』
すぐそこにいるのに何故人伝？
普通に言ってくれればいいのに。
けどド忘れしてたのを教えてくれるのは素直にありがたい。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
『ねぇ、黒板消すの手伝って欲しいんだけど。今いい？』
この学園の黒板は馬鹿みたいに大きくて、どう頑張っても上の方は消し切れない。
だから手近の凄く暇そうなクラスメイトに助けを求めたのだが。
「え〜〜…めんどくさ。てか魔法使えばよくね？？あ、使えないのかw」
『喧嘩売ってる？もういいよ、自分でなんとかするから』
割とレディファーストが浸透しているこの学園で、しかも柔和だった人物に意外な態度を取られた。
ちょっと驚きだ。
こんな調子で、私の日常生活には小さな小さなヒビが入っていった。
でも、大した実害があるわけでもないし、ルームメイトであるグリムは変わらずだし。
ちょっと寂しいけど、人の心は知れないし仕方ない。
そう考えていた。
ラッキーアイテム
糸杉
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Matyu(プロフ) - るいさん» コメントありがとうございます〜どうかグリムを抱きしめてやって下さい！最悪のシュラウド、最高ですよね。 (4月27日 7時) (
レス) id: 804f68e71a (このIDを非表示/違反報告)
るい - グリムー！！！！ひとりぼっちじゃないよー！！！監督生がいるよー！！！でもイデア先輩も最高だなー (4月27日 5時) (レス) @page25 id: b34786daa2 (このIDを非表示/違反報告)
Matyu(プロフ) - 水豚さん» とても光栄なお言葉です！ヤンデレ風味のシュラウド、良いですよね。こちらこそ、読んでくださりどうも有難うございました。 (2月26日 17時) (レス) id: 7b0c655599 (このIDを非表示/違反報告)
水豚 - やばい、性癖に刺さったァ、全私が喜んでいる…。こんなに素晴らしい小説、タダで読めるなんて…。ありがとうございました。 (2月26日 2時) (レス) @page25 id: 1de28648f3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Matyu | 作成日時：2024年1月12日 19時
