天使で女神な谷崎家の長女1【完】

守りたいだけ ページ29

「Aさん…む、無茶ですよ！」

『大丈夫…あなたを、傷つけさせはしないから…』

ふんわりと、敦に向かって微笑むA。そんな彼女は、銃弾に体を貫かれ立つのも苦しそうだ。

「…貴様の異能は、僕の『羅生門』と似ているな。」

『そうみたい…けどっ、私の異能はあなたのものとは違う。これからそれを…見せてあげる。』

「…そんな体で僕に勝てると？舐められたものだ。」

『勝てなくていい。私は、敦君を守りたいだけだから。

『髪染め(カラーリング)』』

「！！」

Aは異能で敦と谷崎を隠した。

『これで貴方は敦くんに手を出せない…私が、貴方を止めてみせるっ』


「…『羅生門』」

芥川はAに向かって獣を繰り出す。

怪我を負ったAがそれを避けられる筈もない。

『っくぅ…！！』

なんとか異能で威力は減らせたが、このままでは何分もつかわからない。

『散髪(カット)！！』

獣に向かって攻撃する。相手の獣が苦しみ、そしてもとの外套に戻る。

「…やめだ。これ以上は時間の無駄。それに………いや、違う。僕は……」

そこで芥川は口を閉じる。

『ッ…かはっ…』

ドサッ

Aはその場で倒れる。

すると、彼女の異能の効果も途切れ、敦の場所も露わになってしまった。

「…人虎、逃げて居なかったか。せっかくの彼女が作った好機を無駄にするとは愚かな

『羅生門』」

芥川は今度こそ、敦に狙いを定める。

しかし

「はぁーい、そこまでー」

この場にいない筈の男の声が響いた。

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