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「土方さん、このことは他言無用でお願いしますね？」
私がそういうと、土方さんは軽く頷いた。
土「無論話すつもりはないし、武士に性別は関係ないからな。…だが、万が一隊長が軽く見られては我々として困るからな。」
「そうですね。…あ、もう少しで寺田屋ですね！送って下さってありがとうございました。」
土「いや、いいんだ。面白いものも見られたしな？」
そう言いながらクスッと笑う土方さんはきっと、私のことを…いや、揶揄っているわけではないか。
でも凄くむず痒い感じがして居た堪れない…。
土「…ん？」
土方さんから離れて早く寺田屋に行こうとしたその時、土方さんはふいに遠くを眺め始めた。
その視線の先には…。
「藤堂さん…？」
平助は私と目が合うと、すぐに視線を逸らして足速に私達と反対方向に向かっていった。
表情は変わらなかったけど、少し苛立っているようにも見えた。
土「さぁ、私も早いところ屯所に戻ろう。君も、お守りを作らなければならないのであろう？」
「はい、本当に今日はありがとうございました。」
平助のことは気になるけど、ひとまず置いておいて…土方さんに礼をしてから寺田屋に入った。
そういえば、寺田屋のおりょうちゃんとお登勢さんは私が女性であることは知っているけど黙っていてくれてるから…とってもスムーズに帰ることが出来て…。
土方さんにバレてしまったのはあんまり喜ばしいことではないけど、…しっかりしている人だからバレて損はないような気もしている。
返って…良かったのかもしれないなんて思うのは、ポジティブ過ぎるだろうか？
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作者名：ひじり若葉 | 作成日時：2019年1月22日 18時
