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斎藤さんは私をみるなり声を掛けてきた。
斎「おい、俺に用があるってのはお前か？」
「…あぁ、はい。私は8番隊隊士の三浦聖です。」
斎「藤堂の隊か。用って…何だ？」
「いや、大した用じゃ無いんですけど…。」
斎藤さんと仲良くなっておこうと思ってたけど、あんまり深く考えて無かったのでいざ話をするとなると緊張する。
斎「…ん？」
「あー、その…永倉さんと互角だったって聞いて少しお話ししたかったんです。」
斎「…そうか。」
「斎藤さんは何で新撰組なんかに入ったんですか？天然理心流の使い手を探す為…とか？」
私がそう言うと少し斎藤さんの表情が強張ったが、直ぐにいつもの顔になった。
斎「……俺の腕をかってくれる所ならどこでも良かった。それが新撰組だったってだけだ。」
「…へぇ？嘘なんてつかなくてもいいのに。」
斎「……お前は何者なんだ。」
「ただの新撰組隊士ですよ。」
斎「お前も天然理心流の使い手なのか？」
「…そうですね。でも、残念ながら私は斎藤さんが探してる天然理心流の使い手じゃないですよ？」
斎「それはどう言うことだ…、お前は何を知っている。」
「言ったじゃ無いですか、私はただの新撰組の隊士です。何も知りませんよ。」
斎「………。」
「ほら、寺田屋に帰りますよ。斎藤さんも同じところに泊まってるんでしょ？」
斎「あぁ、だが俺は屯所に寄ってから行く。」
煮え切らないといった表情だが、今日のところは諦めたのかこれ以上は聞かなかった。
もし東洋さんを殺したのは武市さん…ってここで言ってしまったら油小路事件なんて起こらなかっただろうか。
いや、変わらないか…それはそれでこれはこれだろう。
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作者名：ひじり若葉 | 作成日時：2019年1月22日 18時
