TA-3 ページ41
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十二月二十四日、午前九時。改めて私の家に集まってもらい、作戦会議をした。剣城は午前中、天馬は午後それぞれ時間が空くため、そのあいだに九坂と森村さんを探すことになった。
仕事に向かう天馬を見送り、私は携帯のマップアプリを開いた。剣城によれば、九坂の気配は私の住んでいる市とその周辺地域に留まっているらしい。
「悪魔が近くにいたら、匂いでわかるんだよね。だったら、九坂のこともすぐに見つけられるんじゃない？」
そうたずねると、剣城は苦い顔で首を横に振った。
「今の時期は、多くの悪魔が人間界で仕事をしているからな。匂いが混ざってしまうんだ」
「……私が九坂だったら、他の悪魔に紛れられる場所に隠れる」
天馬から借りた資料を見れば、森村さんは私と同年代の小柄な女性。九坂は――姿を変えているかもしれないが、写真では――男だった。今日はクリスマス・イブだ。恋人同士を装えば、あっという間に人混みに溶け込める。
「なら、人が多い場所を探したほうがいいな。思いつく場所は？」
「いくつか」
このあたりで、人が集まる場所は限られている。
最初に訪れたのはショッピングモールだ。予想通り、家族連れやカップルで賑わいを見せていた。二人を見逃さないよう、周囲を注意深く見ながらフロアを練り歩く。
「九坂ってどんな悪魔？ 剣城は話したことある？」
「何度か。不器用なところもあるが、基本的には仕事に真面目だ。必要以上に人間を
なら、森村さんを攫ったのがなおさら不可解だ。
フロアの端まで歩くと、映画館のロビーが見えてきた。最近公開された話題作に加え、クリスマスの名作をリバイバル上映しているらしい。チケット売り場は長蛇の列ができていた。
「気になる映画があるのか？」
「ううん。気になってるのは全部公開初日に観た。……あっ」
グッズ売り場のショーケースに目をこらす。間違いない、それは確かにそこにある。「おひとり様につき一部」という注意書きとともに。
「どうした？」
「いいや、あの…………パンフレットが……前に観にきたとき、売り切れてて買えなかったのが、再入荷してて……」
視界の端で、剣城が目線を逸らして小さく溜め息をついた。
「大丈夫、わかってるから。今は二人を探さないと――」
「待っててやるから買ってこい」
「ありがとう！」
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://twitter.com/April_hrm
作成日時：2022年10月13日 0時
