special episode White Holiday-1 ページ34
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「クリスマスは一緒に過ごせないんだ」なんて、恋人同士のようなセリフを言って、天馬はしゅんと項垂れた。
special episode White Holiday
「え、二人とも？」
驚いて聞き返すと、二人は暗い表情で同時に頷いた。
天馬は人間界のイベントに興味津々の様子だったから、クリスマスパーティーでもするのだと思っていた――天馬がイエス・キリストの生誕を祝うことを、彼の「神様」が許すかどうかはわからない。だが、天馬はここ最近、動画配信サービスの『クリスマスは家で映画』と特集された作品ばかり観ていた。
だから、天馬が落ち込んでいるのはわかるが、剣城までこの様子なのは意外だった。それにしても、クリスマスに二人揃っていない理由とは。
剣城は、苦い顔で言った。
「仕事が多いんだ」
曰く、クリスマス・イブとクリスマス当日は、天国と地獄の繁忙期らしい。夜遅くまで人間が外出すること、パーティーなどでお酒を飲むことで、様々な死亡リスクが跳ね上がるのだと。
「Aは休みなの？」
「二十四日は仕事だけど、二十五日は休みだよ」
「そうなんだ……」
もっと落ち込んでしまった。ソファと一体化してしまいそうな天馬の肩をぽんぽんと叩く。
「まあ、クリスマスだからって絶対何かしなくちゃいけないわけじゃないし」
「でも……一人にしてごめんね……」
「いいよ。気にしないで」
休みを一人で過ごす私よりも、仕事に追われる二人のほうがよっぽど気の毒に思えるが、それでも彼らは私のことを気にしているらしい。
「お仕事がんばってね」
そういうわけで、私のクリスマスはぽっかりと予定が空いているのである。
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作者名：はるま | 作者ホームページ：https://twitter.com/April_hrm
作成日時：2022年10月13日 0時
