8人目のバイト！？① (ページ36)

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夜の8時。

今日のダンスレッスンが終わった。

でも、いつもの話し声はせず、スタジオは静まり返っている。

それもそのはず。今日から、ダンスレッスンも個人指導になったのだ。
理由は簡単。

それぞれのグループの曲のフリ入れをそろそろ始めるから。

理由はちゃんと理解できる。
でも、やっぱり、ひとりぼっちは寂しかった。

今日から私専属のダンス講師になったのは、志田先生っていう女の人で、明るくて可愛くて、もちろんダンスはキレッキレで、すごくいい人ではあるんだけど…
やっぱり、どこか気を遣ってる自分がいて。
今日覚えるはずだったダンスは、結局終わらずじまいだった。

悔しい。結局、手紙の人たちの言う通り、このままじゃ私、ただの迷惑にしかなれない。

ここでお得意の負けず嫌いが生まれる。そして、気付いたときにはもう行動に出ている。これが私の、ちょっと悪い癖。

「あのっ志田先生！」

志「ん？」

「この後、ここのレッスン場って使っても大丈夫ですか？自主練したいんです！」

志「あ～…えっと。」

志田先生はスマホを開いて、何かを確認してからニコッと微笑んだ。

志「うん、大丈夫。予定はない。でも、私はちょっと明日朝早いから、これで失礼するね。」

「はい！ありがとうございました！」

志「終わったら、受付の人に終りましたって言えば、鍵閉めといてくれるから。でも、無理はしないでよ？」

「わかりました！今日の復習だけして帰ります。」

志「うん。私のお手本動画、メールで送っとくから。じゃ。」

そういうと、志田先生は颯爽と去っていった。
その5分後くらいに、志田先生から動画が送られてきた。

ちゃんと水分補給してから、また練習を再開した。

それにしても、難しい。。なんだこの曲。。。

クタクタになってしゃがみこんで時計を見上げたら、いつの間にか22時を回っていた。
明日も学校だったのを思い出して、慌ててスタジオを飛び出した。

…その後ろで、こっそりくまさんが見守っていたことにも気付かずに。