8人目のバイト！？① (ページ35)

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記者会見から一週間。

初めは、知らない人に声かけられたらどうしよう、とか思ってたけど、大学内で声をかけてくる人はあんまりいなかった。
その人たちも、別に悪口を言ったりしてくるでもなく、「友達になろうよ！」とか「連絡先教えて！」とか、何とかして私と関わりを持ちたい人たちばっかり。

まあ、もちろん初対面の人にいきなり連絡先教えられるほど私はフレンドリーではないし、工藤さんに「無駄に個人情報を公開するな」って言われたばっかだったから、一人も教えてない。

そしたら、多分その噂が広まったのか、私に声をかけてくる人はいなくなった。

…相変わらず、視線は痛いけど。

それよりも、今一番困っているのは、

「…今日もか。。。」

うちの大学には個人用のロッカーが設置されてる。私はその中に、テキストやら資料やら入れてるんだけど。
記者会見の翌々日から、私のロッカーにはたくさんのお手紙が勝手に入れられるようになってた。
もちろん、そのお手紙の内容は、「応援してます！」なんて優しいものじゃなくて。

「ブス」「デブ」「迷惑」「今のうちに辞めろ」「お前なんか無理だ」「エイトの邪魔するな」そんな言葉がずらりと並んでて。

中には、「死ね」「殺す」なんてのもあったりして。
そしておまけに、カミソリの刃とか、画鋲とか入ってたりして。

…まあ、実際に殺しにくることはないだろうけど、やっぱ、怖くないって言ったら嘘になる。

それが飽きもせず毎日続く。しかも、差出人は一人じゃない。
今までこんな風に直接標的にされたことなかったから、なんかどうすればいいかわかんなくて、
とりあえず毎日、鞄に手紙を詰めて、家に帰って棄てて、このことは誰にも話さないでいた。

今日も、昨日とはまた違った封筒の手紙がロッカーを開けた瞬間に溢れてくる。

それと一緒に目から涙が溢れそうになったのを必死でこらえ、足元に散らばったものから順に、いつも通り鞄にしまった。

なんてことない。たかが手紙だ。気にするな、自分。

それに、今日は久々のダンスレッスン。
学校にいる間だけ耐えれば、放課後はまた、いつものメンバーと会える。

沈みかけた自分をむりやり奮い立たせて、「よしっ」と、授業へ向かった。