30-村上side ページ30
村上side
横から研修生について一通りの話を聞き終わって、横以外のメンバーはう〜ん…と唸ってしまった。
正直、俺は研修生制度の意味もメリットもないと思う。
そもそも、ジャニーズ事務所に女性タレントなんていらんと思うねんけどなあ。
それがジャニーズグループで研修なんて、ファンの子たちが知ったら大騒ぎやろな。
俺らは、ファンのありがたさと同時に、恐ろしさを知ってる。
現実はそんな甘くないで？こんなん、あの子が傷つくだけや。ええことないわ。
横「まあ、みんなが複雑な気持ちになるのもわかるけど、ジャニーさんが決めたことやねん。あの人の直感は、ほんまにあなどれへんって、みんなもわかってるやろ？」
俺らは、しぶしぶ、といった感じで頷いた。俺もそれは否めない。
渋「…そうは言うても、ジャニーさんのその言い方やったら、ライブとかにも出るんちゃうか？そんなん、やりにくくてしゃーないわ。」
錦「せやで。Jr.と一緒に踊ってるだけならまだしも、一緒に歌うとかなったら、歌割りとか変えなあかんもんな…」
安「ジャニーさんの『仮メンバーとして活動する』っていうのが、どこまでの範囲かがわからんよなぁ」
大「でも、そこが一番重要なとこやで。」
丸「まあ、どうなっても、ファンの子はなかなか認めてくれへんねやろな…」
そこでまたみんなでう〜ん…と唸った。
やっぱり、どんだけ考えてもメリットが浮かばへん。
ジャニーさん、どういうつもりや…？
ん？いや、ちょっと待てよ。
村「っていうか、なんでそんな大事な話、俺らにすぐ話さんかったん？」
すると横は不自然に目線を泳がせ、
「タイミングが分からんかってん…」
と、小さく呟いた。
きっと今日まで忘れていたのだろう。
みんなも、横の嘘はとっくにわかっているはずだけど、誰もそれには触れない。
そんなことより、研修生のことで頭がいっぱいや。
すると、ドアがノックされ、少し開いて、もうお馴染みのスタッフが顔を出した。
ス「関ジャニ∞さん、移動をお願いします。」
そう言うと、ドアはパタンと閉められた。
村「よっしゃ、行くか。」
みんなも頷き、立ち上がる。
こういう時は俺の得意のポジティブ思考で、みんなを引っ張ってかなあかんなぁ。
今日のクロニクルの企画は全員参加の企画やし。
うん。頑張らな。
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作者名：ななりぃ | 作成日時：2017年8月13日 15時
