Streptocarpus(Shota.W) (ページ4)

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Streptocarpus 4 ページ4

「佐久間たちと、話してたんだけど。」
「うん。」
「……最近、照の筋肉すごくね？って。」

流石に電話の盗み聞きしてたとは言えなくて、かと言ってこれは下手すぎる。
頭を抱えたくなるのを、我慢しながら口一杯に焼き鳥を頬張る。

「そうなの？元からすごいから分かんないけど
　また撮影でもあるのかな？」
「ん。」

口に入れ過ぎたせいで、まともな返事が出来なくて
頷いて返すと、くすくすとAが笑う声が聞こえる。

「お腹減ってたの？」
「んまあ。」
「ゆっくり食べてね。お水も出そうか？」
「…ん。」

笑うまま席を立ったAの背を見送りながら、黙々と口を動かす。
ようやく口の中が空になった頃、Aが水の入ったグラスを渡してくれる。

「はい、どうぞ。」
「ども。」

一口水を飲んで、Aを見ると首を傾げて返された。

「あ、岩本くんの話だっけ？それで？」
「…いや…。」

そもそも佐久間とそんな話はしていないから、続きなんてあるわけもない。
促された続きを考えようと、頭をフル回転させる。
大した速度にはならないけど。

「…俺も、もっと鍛えようかな、って。」
「へえ？どこを？」
「胸、とか、腕、とか？」
「上半身？」
「ん。…女の人、は、逞しいの好きっしょ。」
「人によると思うけど、好きな人は多いかもね。」

Aもだろ、と思いながらビールを一口飲む。
もう一口飲んでも、モヤモヤは消えるはずもなく
思わず溜息を吐くと、Aと目が合った。

照のこと、カッコいいと思ってんのかあ。

カッコいいもんな、実際。
背も高くて、男らしい顔立ちに身体。
中身もしっかりしてて
いつも前を向いて、引っ張ってくれる。
カッコいいよなあ。

また煽ったビールはやたらと苦い。
アルコールが回る。

そういえば、アイツ酒も強いしな。
絵に描いたような男。

でも、アイツ、チョコレート好きなんだぞ。
可愛いものも好きで、お化け屋敷とか虫がダメで。
まあ、それは俺もダメだけど。

「渡辺くん？」
「ん。」

呼ばれて顔を上げる。

アイツが合コンに居たら、付き合うよなあ、なんて
上げた先に見えたAの顔にぼんやりと思う。

俺は、付き合うのにすげえ時間かかったけど
照なら、もっとすぐ付き合ったのかな。

「泣きそうな顔してる。」
「…してねえ。」
「じゃあ、酔った？」
「……それは、あるかも。」

す、と水が入ったグラスを側に置き直されて、大人しくそれを飲む。
頬杖をついたAが、じっとこちらを見ている。