水温 1 ページ9
水槽に触れることもなく、ただ青暗い水中を
吐夢は、しゃがんでぼうと見ていた。
ごぽりと音のしそうな気泡が
時折水底から昇っていく。
少しそれは雲に似ていた。
何ら不自由のないように、
水の中を緩やかに泳ぐ鮮やかな色の魚達。
その魚達のずっと下、水槽の底で
起きているのか眠っているのか
生きているのか死んでいるのか
微動だにせず、ただ静かに岩のように佇む、
決して彩りの溢れた、とは言えない底魚を見つめる。
そこはどんな世界なのだろうか、と思いを馳せる。
水中に入っている時のように
水に遮断された不透明な音や、
水面で乱反射する人工の光を煩わしく感じるのか。
それとも、そんな頼りないものにすら
縋りたいと、恋しいと思うのか。
なんて。
ふ、と吐夢は吐息をこぼす。
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» 私も初日に観てきました✨実はこういう仄暗い狂気系がとても好きで好きで、友達と何とか吐夢くんが幸せである姿を考えたい!って話してたら書いてました(笑)本当、彼の中の沼は深いです… (2月26日 17時) (レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - Harumizuさんがこのネタを書いてくださるとは!! 初日に観てきました。桃様の表現者としての実力に圧倒されました。……解っていたけど、本当に深いですよね……彼の中の沼って。 (2月26日 16時) (レス) @page3 id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時:2024年2月26日 16時