Photo 1 ページ6
「あのアプリの写真って、何の時の写真なの？」
こうして輪花と会うのは何回目か…という、よくある小説の一編は吐夢には存在しえない。
こうしてきちんと約束を取り付けて会うのは、初対面も含めると１１回目だ。
「何の時でもないですね。」
輪花の眉間に怪訝そうに皺が寄り、吐夢は小さく微笑んだ。
「何でもない時にあの笑顔はないでしょ。」
「そうですか？でも本当ですよ。
アプリ用に撮った写真だし。何の時でもない。」
笑うことなんて、吐夢には造作もない。
頬の筋肉を使って口角を上げて、目を細めればいい。
上げる口角の角度、瞳の細さ、頬の上げ具合等
気にすべきポイントはあれど
今、手にしているコーヒーカップを握り、口に運ぶ動作と何ら変わりない。
不具合のないように、バランスを取るだけ。
「あれアプリ用に撮ったんだ。」
「はい。輪花さんもでしょ。真顔だったけど。」
「そ、そう。ああいう写真で格好付けるの嫌だから。」
気不味そうな顔をした輪花に、吐夢はふ、と笑う吐息を零す。
輪花らしい、と思った。
「輪花さんらしい。でも、自分の部屋が映ってる写真なんて、危ないから気を付けてください。」
「吐夢がそれを言うんだ？」
「僕だからこそです。あんなの個人情報を探ってくださいと言ってるようなものです。」
「それが普通なのかなあ…。」
「普通ではないかもしれませんが、普通じゃない奴も居ることは確かだから。」
輪花もそれは痛感しただろうが。
口を噤んだ輪花に、吐夢は眉尻が僅かだけ下がる。
本人にその意識があったかは定かではないが。
そんな吐夢の視界の端に、ケーキの皿を持ち上げて友人と自撮りをする他の客の姿が入る。
「…そういえば、輪花さん、写真撮らないですね。」
輪花のスマホをハッキングした時に、そのフォルダの中にあった写真は、そこまで多くなかった。
その中でも、輪花自身が写っている写真はほんの数枚で、確認する中で、それをとても残念に思ったことを吐夢は覚えている。
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» 私も初日に観てきました✨実はこういう仄暗い狂気系がとても好きで好きで、友達と何とか吐夢くんが幸せである姿を考えたい！って話してたら書いてました（笑）本当、彼の中の沼は深いです… (2月26日 17時) (
レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - Harumizuさんがこのネタを書いてくださるとは！！ 初日に観てきました。桃様の表現者としての実力に圧倒されました。……解っていたけど、本当に深いですよね……彼の中の沼って。 (2月26日 16時) (レス) @page3 id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2024年2月26日 16時
