光 1 ページ4
運命。
愛。
目には見えないそれらの存在を
永山吐夢は、心から信じていた。
どちらもその存在を感じた事はなかったが
だからこそ、どちらも酷く貴く
人間なんかが抗えるものではなく
絶対的に存在するものだと、心から信じていた。
疑うはずも無かった。
そうでなければ、この自分の人生は
あまりに不条理で、不平等で、酷いものだった。
運命でなければ。
何故自分は生まれてすぐに
親に捨てられなければならなかったのか。
まだ世界に何も触れず、罪すら犯せぬその時に。
愛がないというのであれば。
何故自分は知りもしないソレにここまで固執し
ソレを求めて、まだ生きているのか。
どちらも存在しないというのであれば。
小さな画面に映る、声も知らない彼女の写真に感じる、この祈りにも似た気持ちは、何だと言うのか。
これが運命で、真実の愛だ。
笑顔の欠片もない、まっさらな写真を
そっと指で撫でてみる。
少し画面が上下に揺れる。
彼女の後ろの壁に貼られた、幸せの象徴も同じく揺れる。
たった一つ。
唯一、吐夢が自分の親から与えられた四葉のクローバー。
最早色褪せた自分のソレとは反対に、
いや、対を成すように、彼女の背後にあるクローバーは美しく鮮やかな緑をしていた。
その絵は彼女にとって、どんな意味を持つのだろう。
十分過ぎる程に大人になった今も
幼少期に描いた絵を部屋に飾るリンカに
枯れ果てたクローバーを肌身離さず持ち続ける自分を吐夢は重ねる。
夢想にも近い、夢見心地で、瞬き一つしない写真の中の彼女を想像する。
どんな声で、どんな顔で、どんな風に彼女は
その真っ黒な瞳に自分を映してくれるだろう。
きっと笑った彼女も美しいに違いなかった。
「…会いたい。」
届くはずもないのに、幾度となく声を漏らす。
会ってリンカをもっと知りたい。
そして、もっと確証が欲しかった。
これが、たった一つの運命だと。
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» 私も初日に観てきました✨実はこういう仄暗い狂気系がとても好きで好きで、友達と何とか吐夢くんが幸せである姿を考えたい！って話してたら書いてました（笑）本当、彼の中の沼は深いです… (2月26日 17時) (
レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - Harumizuさんがこのネタを書いてくださるとは！！ 初日に観てきました。桃様の表現者としての実力に圧倒されました。……解っていたけど、本当に深いですよね……彼の中の沼って。 (2月26日 16時) (レス) @page3 id: 777d8311f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2024年2月26日 16時
