Raspberry-Valentine-(Daisuke.S) (ページ6)

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Raspberry-Valentine-6 ページ6

「だから。これまでにさっくんが貰ったり、
　今年貰う義理も本命も含めたチョコ全部と
　比べて、私のが負けてたら嫌だから、
　チョコはあげたくないの。」

だめだ。
備えてどうこうなるレベルじゃない。

顔を真っ赤にしてそう言ったAに
真っ白になった頭で、衝動的にキスをしていた。

さっき叱られたばかりだとか、
そんなことは吹っ飛んで
自分の頭の中に反響する心臓の音と
Aから漏れる小さな声と吐息しか聞こえない、
分からない、感知しない。

酸素を求めて少し開いたAの口に舌を捩じ込んで、甘くすら感じるその吐息ごと奪う。

抗議するように腕を叩くAの手を捕まえて、
Aに乗っかるように動きを抑え込んで、
少し零れた唾液を舐めとる。

「…っ、ちょっと…っ」
「マジで何言ってんの？」

抗議のために口を開いたAにまたキスをして
佐久間は困ったように、怒ったように笑う。
自分でも、自分の感情が分からなかった。

「ははっ、Aさん、俺の心臓止める気？
　マジでやばいって。」
「なにが」
「比べるわけねーじゃん。
　昔のなんて覚えてもねーし、
　今年貰う分も、チョコってだけだし。
　仕事の一環っちゃ一環だし。」

Aが声を発する前に、キスで塞ぐ。
そうでもしないと、目の前の人が可愛すぎて、
愛しすぎて、おかしくなりそうだった。

「ねえ、前の彼氏にもそんなこと言ってたの。」

いや、やっぱり少しもうおかしい。
絶対聞かない方がいい事なのに、止まらない。

答えを促すように、Aの鼻の頭を軽く噛む。

「っ…思わない、作ったことないもの、そもそも。
　好きな人に。」
「！！！」
「手作りが良いって言う人も居なかったし。」
「っあー！！！本当、マジで勘弁して！！」

Aの前髪に指を通した勢いで、
逃げられないようにAの頭を枕に押しつけて、
また口付ける。
Aの抵抗なんて可愛いもので、
そこから先は正直覚えていない。

ただ、可愛くて、愛しくて、
そんなAを余す所なく味わいたくて、
自分のものにしたくて。
頭の芯が灼き切れるような。