Raspberry-Valentine-(Daisuke.S) (ページ4)

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Raspberry-Valentine-4 ページ4

Aの顎に、仰け反った首筋に
鎖骨に、肩に唇を寄せると、
小さな吐息が漏れるのが聞こえる。

「ねえ、おねがい。俺にもチョコ、作って。」
「…んん…。」
「Aさんのが欲しいの。Aさんが作ったのが、食いたいの。」
「さっくん。」
「いや、もしかしたら、嬉しすぎて
飾っとくかもしんないんだけど。
欲しい…おねがい。」
「うんんん…。」

唇を離して、Aを見下ろすと、それでもまだ悩むように瞳を揺らすAの顔が見えて、泣きたくなる。

いつだったかの夜。
まだAとあくまで体の関係だった頃、
独り、一方通行の想いを抱えていた頃を思い出して
佐久間の胸がきしりと痛んだ。

「…俺、Aさんの…彼氏、でしょ。」

絞り出した声は情けなく掠れていて、
また揺れたAの瞳にはありありと心配の色。

それが分かるくらいに
自分たちの関係は深くなったのに、
頷いてくれないAが分からなくて、
佐久間の眉間に皺が寄る。

少し上体を起こしたAがその皺にキスをした。

「うん。さっくんだけが、彼氏よ。
　私の大好きな人。」
「じゃあ、俺にちょうだい。
　もう、俺だけにちょうだい。
　Aさんの手作りのチョコ。
　今年も、これからもずっと。」

そんな子供みたいなキスで足りるわけもなくて
佐久間は両手でAの顔を包むと、
その唇にゆっくりと唇を重ねる。

ふ、と漏れるAの吐息すら甘く感じる。
Aの腕が自分の首に回る感触がして
それがひどく嬉しくて、佐久間はキスを深くした。