Raspberry-Valentine-(Daisuke.S) (ページ2)

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Raspberry-Valentine-2 ページ2

「でも、さっくん、沢山チョコレートは
　貰うんじゃない？」
「それは、そうかもだけど。」

否定は出来ない。
でも、それは本命とかでなくて
共演者さんやスタッフさん、その他諸々関わりのある人達から個人的に、グループに、事務所に貰う物であって。
佐久間が欲しいのは、たった一つなのに。

Aの手に頬を擦り寄せて目を閉じる。

何だか急に悲しくなってきてしまって
撫でてくれ、ともう片方のAの手を
自分の頭に乗せる。

Aからのたった一つが欲しいのに。
欲しいと言っても、許される関係なのに。
他の男は食べてきたのに。

「さっくん。」

Aの手に柔らかく撫でられる感触に
もっと悲しく、寂しくなる。
いつもなら、呼ばれるだけで胸が弾むその声が
寂しい。

「チョコレート沢山食べたら、お肌荒れちゃうよ。」
「ちょっとずつ食べるし。
　何なら、Aさんも一緒に食べたらいいじゃん。」
「さっくん宛のチョコを？」
「そう。俺宛って言っても、
　仕事関係のばっかりだし。」
「そうじゃない人も居るかもしれないじゃない。」
「ないよ。そういうの、受け取んないから。」
「ううん…。」

薄らと目を開けると、やはりAは困ったように笑ったままで、佐久間の眉尻がぐっと下がる。

目が合ったAの手が、そっと佐久間の眦を撫でる。