Antares 3 ページ3
もう少し水を飲ませるべきか、とAがテーブルに手を伸ばすと、それを察知した佐久間が腕に力を込める。
ソファから少し腰を浮かすことも許されず、Aは溜息を吐くと、持ち上げた手でそのままピンク色の頭を撫でた。
くふふ、と笑う声が下から聞こえる。
「そしたら、Aに会いたいなーってなって。」
そしたら、なのかはAには分からないが
佐久間的には正しい接続詞なのだろうから、そのまま佐久間の頭を撫でながら、Aは首肯する。
「俺の可愛い彼女が見てえなーってなって
気付いたらAの家来ちゃってて。」
「うん。」
「そんでさ、もう寝てるかなーって思ったら
起きててくれてさ。」
「うーん、うん。」
「俺が来て、めっちゃ、きょとーんってしてんの。
可愛くない？」
「可愛いくはないかなあ。」
「なんでよお。」
その彼女が自分だからだが。
佐久間は不満そうに頭をぐりぐりとAのお腹に押し付ける。
「大介、ちょっと。」
「悔しいから、明日、メンバーにAのこと
めっちゃ自慢するって決めた。」
「結構本気でそれはやめて欲しいかなあ。
私も顔合わせるから気まずいよ。」
「いーや。やめないね。俺は決めた。」
「…決めちゃったかあ。」
抵抗を諦めたAは、壁時計を見上げて明日の予定を考える。
佐久間は明日何時から仕事なのか、迎えが来るのか、来るならどこに何時に来るのか。
スマホのスケジュールアプリを見れば、何かしら分かるかもしれないが、そのスマホは寝室に置いたままで、Aに抱きついたまま鼻歌を歌う佐久間は
まだ暫くは動く気はなさそうだ。
「大介、明日は何時に家出るの？」
「１０時ぃ。」
ダメ元で問えば、思いの外しっかりとした返事が返ってきて、Aがそっと佐久間の前髪を分けると
やはり赤い顔をして、にこにこと笑う佐久間が居た。
「マネージャーさんのお迎え？」
「んにゃ、自分で行く。」
「タクシー？」
「タクシー。」
「事務所？」
「局。でも一回家帰る。
ツナシャチにご飯あげるし。」
「それ込みで１０時に家出る？」
「そお。」
プロ根性極まれり。
酔っていても明日のスケジュールは叩き込んでいる佐久間に、Aは思わず拍手したくなるのを我慢して、褒めるようにもう一度佐久間の頭を撫でた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» 刺さったみたいで良かったです（笑）緑さんみたく可愛く終わるはずが、何故か大人な雰囲気になってしまい(・・?)桃さんは罪な男です（笑） (8月3日 20時) (
レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - ギャーーーー!!!Σ(ﾟДﾟ) ……Harumizuさん、私の息の根を止めるおつもりなのですね……｡そうなのですね……｡ 助けて〜〜!! (8月3日 0時) (レス) @page5 id: f6a74c2234 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年8月2日 19時
