Dear 31st Birthday 7 ページ7
そんな調子で、着々と写真を撮って、切り取られた時間が増えていく。
ケーキを持った佐久間や、サラダを食べるA、乾杯する2人。
片付けをするAの横顔や、そんなAにじゃれついた佐久間とのツーショット。
そして今は、ソファで寛ぐAの膝に頭を乗せて
そこから見上げるAをカシャリ。
「また変な角度から。」
「変じゃないよ。
膝枕してもらってる時、めっちゃ幸せだから。
疲れた時、この写真見て思い出すの。」
「ええ、それはちょっと何かやだ。」
Aの細い指が佐久間の前髪を分けて、細くなった瞳に見下ろされる。
優しい表情。
それも欲しいな、と思って、すぐさまシャッターを切る。
「あ、もう。すぐ撮るんだから。」
「にひひ、良いでしょ。
あー、でも残り後ちょっとだわ。」
「結構撮ってたからね。」
机の上には沢山のチェキ。
今日という日を切り取った数々。
どれもこれも、佐久間にとって幸せでキラキラとした大切な時間で、それを眺めるだけでまた顔が緩んだ。
一度カメラを開けて、残りのフィルムを数えれば後3枚。
本当にあとちょっと。
佐久間は暫し目を閉じて考えた後、カメラを閉じる。
あと3枚の撮るシーンは決まった。
「あ、そうだ。そのチェキ用にね、
アルバムも買っておいたの。」
「え?そうなの?完璧じゃん、ありがと!」
Aが発した言葉に体を起こすと、Aがすぐに立ち上がって、綺麗にラッピングされた箱2つを持って戻ってくる。
「2つ?」
「アルバムと、誕生日プレゼント。」
「え!でも、この写真。」
「プレゼントが1つって決まりはないでしょ?」
ふふ、とAが楽しそうに笑う顔が可愛くて
つられて佐久間も破顔した。
「めっちゃ嬉しい!開けていい?ってか、開けるね。」
「どうぞどうぞ。」
アルバムにしては小さい方の箱を先に開ければ
出てきたのはレザーのキーケース。
片隅に佐久間のイニシャルが刻印されたそれに
佐久間はパッと顔を輝かせた。
「うっわ、めっちゃ手触り良い!」
「でしょ。私も手触りが気に入って
それにしちゃった。」
「イニシャルも入ってるし、本当ありがと!
今付け替えちゃお!」
ポケットから取り出したキーケースから、鍵を外しては新しいケースに付け替えていく。
キーを付ける金具の余った部分には、嫁のキーホルダーを付けて、完成したケースを掲げる。
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マコト(プロフ) - 読んでいて、とっても幸せな気持ちになりました。ありがとうございましたヽ(=´▽`=)ノ (7月9日 0時) (レス) @page9 id: f6a74c2234 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時:2023年7月8日 22時