Dear 31st Birthday(Daisuke.S) (ページ4)

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Dear 31st Birthday 4 ページ4

ぱこ、とフィルムの入った箱を開ければ3袋と１枚のフィルム。

「？」
「１袋１０枚入り×３袋と１枚なの。」
「３１枚！」
「そう、折角だしね。」

早速フィルムを入れて、Aの横顔にレンズを向けると、恥ずかしそうにAが笑う。

「近いよ。」
「それが良いんじゃん！ねー、こっち向いて。」
「ええ、近すぎるって。ピント合わないんじゃない？」
「分かんないけど、それはそれでアリっしょ。」

カシャン、とシャッターの硬い音がして
少し遅れて出てきたフィルムを２人で覗き込む。
フィルムの中の正方形はまだ灰色のままで
何となく、黙ってその四角を２人でじっと見つめた。

「あ、なんかちょっと色出てきた！」
「本当だ、ふふ、ドキドキするね。」
「新鮮〜！どんな風に撮れてるかな。」

ゆっくりゆっくりと浮かんできた、
はにかんだAの横顔は
いつまでも待っても、少しぼやけたままで
ただ、その耳に揺れるイヤリングのピンクが
鮮明に輝いていた。
イヤリングにピントの合った、そんな写真に
どちらともなく、口元を緩めて笑い声を漏らす。

「っく、くく、」
「ふ、っふふ、全然ピント合ってない。」
「すっげー！めっちゃ綺麗にイヤリング撮れてる！
　CMみたい！」

ぼやけたままでも分かる笑顔のAのすぐ近くに
自分色がきらりと光るその写真は
佐久間にとっては、十分過ぎる写真だった。
きらきらとした瞳で、その写真を見る佐久間にAは嬉しそうに笑って、腰を上げた。

「じゃ、ご飯つくってくるね。」
「俺もそっち行く！
　あ、でもその前に康二に電話してみよ。」

携帯を出した佐久間は、暫くすると通話を始めて
Aはその声をBGMに料理を始める。