Unanswered morning glowy(Daisuke.S)16 ページ16
「あー…、こっちこそ、ごめん。」
は、と止めていた息を吐いて、佐久間も謝罪の言葉を口にする。
「ふっかが謝ることじゃない。
俺こそごめんね?そんなに、ふっかが考えてくれてるの気付けなくて。
ダンス練してる時と同じでさ、色々必死すぎて
自分ではそんなに辛いとは、思ってなかったんだけど。
…思ってなかったはずなんだけど。」
今まで佐久間が目を背けていたことを非難するように
ずきずき痛む心臓の傍ら、ほっとした自分が居ることに、驚きながら。
「ちょっと、しんどかったみたい。」
溜息を逃がすように、笑った。
「佐久間…。」
「いやー、本当ふっかの言う通り。
本当、俺、どうしたらいいか分かんないし
なんも変えられないし、でも、止めちゃったら終わっちゃうし。
でも、ほら、俺たち、諦めるのすんごい下手くそじゃん?」
言いながら、背もたれにぐったりと背を預けて
両手で顔を覆ってから、俯いた。
「だから、ちょっと、ほんのちょっとね。
おれ、疲れたっぽい。」
言葉にすると、急に体が重くなる。
未だ、Aとの関係を何も変えられていない、
Aの本心を聞けていない自分に焦る。
そもそも変えることなんて出来ないんじゃないのか。
もうAに新しい好きな人が出来ていたら?
今じゃなくても、今後、そうなったら?
そもそも、あの別れ話の時の話が全てで
何かあるなんて、自分の勘が間違っていたら?
あれからもAが、何かを自分に伝えてくれることも
そんな素振りすら見れなくて。
もう、本当は無理なんじゃないかと、心のどこかで思う自分に
気付かないふりをし続けて。
胸が痛い。
息が苦しい。
悲しい。
こわい。
こわい。
「心配かけてごめん。気付いてくれてありがと。
俺、だめなやつだね。」
「だめな奴なんかじゃないよ。お前はイイ男だよ。
すげー馬鹿だけど。」
「にゃはは。」
「……ちゃんとする、って、言ってたよ。」
「え?」
「すぐには無理だけど、ちゃんとするって。」
「………そっかあ。」
「うん。」
「…ふっか。…本当ありがとうね。」
結局、少し余裕のあったはずのランチタイムは
冷えた牛丼と味噌汁をかきこまなきゃいけないほど押してしまって
深澤には大変申し訳ないことをしてしまった。
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時:2023年3月25日 17時