Midnight Trendy(Daisuke.S) (ページ5)

今日:3 hit、昨日:23 hit、合計:13,651 hit

Midnight Trendy(Daisuke.S)５ページ5

「佐久間さんには、もう、きゅんとしない？」

「………うん。」
「ドキドキしない？」
「うん。」
「ドキマギは？」
「んー…？ドキドキと何が違うの？」
「ハラハラは？」
「それはよくする。アクロの練習中とか。」
「びっくりは？」
「それもよくする。大介は、本当、突拍子もないことするから。」
「刺激的で良いでしょ。」
「刺激的って、言うのかなそれ。」

質問する毎に、胡坐をかいた体を左右に揺らして
乱れる息を誤魔化しながら
小さく笑っているAの顔から、何一つ見逃さないように
佐久間はAをじっと見つめる。
泣くな。
まだ、泣くな。

「もう、佐久間さんのこと…飽きちゃった？」
「……悪く言えば。」

Aの少し低くなった声に抗うように
佐久間は声のトーンを上げる。

「もう、俺のこと、好きじゃない？」

しん、とした部屋の中、カチ、カチと時計の秒針の音だけが響く。
薄く開いたAの唇から、短い息が零れるのを
佐久間はじっと見つめていた。

「A？」
「……好き、だと思う。
　でも、恋ではないと思う。」

囁くような小さな声の返答だった。
佐久間はゆっくり瞬きをする。

「友達としての好きってこと？」
「…そんな感じかもしれない。戦友とか、家族とか。」
「幅広いね。」
「うん。」
「……Aの中で、そんな幅広いポジションとってるのに
　一緒に居るのは、ダメなの？」

Aの唇が少し震えるのを見て、次いでAの瞳を見た。
少しだけ、彼女の瞳が濡れているように見えたのは
自分の願望だろうか。

「俺もAのこと、最高の友達で、戦友で
　家族みたいだなって、思うときあるよ。
　まあ、俺はAにきゅんとするし、ドキドキもするけど。」

佐久間の視線から逃げるように瞳を伏せたAの顔に
困らせたいわけじゃない、と佐久間は心中呟く。
でも、言葉を止めたら、何かに飲み込まれてしまいそうで
その何かに飲み込まれて終わってしまう前に
きちんと、伝えなくては。