Silk tree(Koji.M) (ページ1)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:11,369 hit

Silk tree 1 ページ1

Aが手にしている本の珍しさに、思わず声をかけた。

「それ、泣けるってめっちゃ有名な恋愛の本やん。」
「ん？ああ、そう。」
「普段恋愛ものそんなに読まんのに、珍しいな？」

透かし細工の入った金色の栞を挟んで本を閉じたAに申し訳なさと、やはり心のどこかで嬉しさを感じながらその隣に腰を下ろす。

「トキメキの補給的な感じかな？
　そういうの、お肌にも良いって言うし。」
「ほーん。成る程な。って、いやいやいやいや。
　何言うてんの。トキメキの補給って何？
　足らんってこと？」

Aの閉じた本をテーブルに置いて
その肩を掴むとしっかり向き合う。

驚いた顔で目を丸くするAも可愛いけども
今はそんな可愛さには絆されてやらんで。

「足りないわけじゃないけど。
　きゅんってしたくなる時もあるじゃない？」
「いや、だから、それがな？
　ちょい待ち。あ、テレビつけるな？」

テレビをつけて、登録されている自分達のYouTubeチャンネルの再生リストまで急いで移動する。
その間にも考える。

考えろ。
考えるんや、俺。
俺達の楽曲の中で、1番きゅんってするやつは何や！