Merry Xmas2023(Koji.M) (ページ1)

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Weihnachtsbaum nur für Dich 1 ページ1

「もっと右…か？」

12月上旬。
Aの家に今年からデビューした、
小さめのツリーと向井が睨めっこを始めて早１時間。
数々のオーナメントを、ああでもないこうでもないと、一つ一つの位置を慎重に考えながら
難しい顔をしている向井の、ビタミンカラーのオレンジのセーターを、Aはソファに座ってカフェオレを飲みながら眺めていた。

「なあ、Aさん、どう思う？
　このさっくん色のプレゼント、右上と左下と、
　どっちがバランスええ？」

ピンク色の包装紙に包まれた、立方体のプレゼントのオーナメントの位置を決めかねているらしい。
普段から自身が被写体であり
構図を決めるカメラマンでもある向井にとって
きっとそれはとても大きな違いで
その小さなピンクの位置一つで
きっと世界は全く違って見えるのだろう。

ただ、残念ながら
Aにはあまりその差が分からない。
どうでも良いとかではなくて
純粋に違いが分からない。

右上にあっても左下にあっても綺麗だし
クリスマスツリーになっていると思う。

「うーん…、そうねえ。」

でもそんなことを言ってしまうと
向井が悲しい顔をしてしまうのは分かっているから
Aは向井からの問いとは違う事のために、首を傾げて考える。

「悩ましいよなあ。ピンクって目立つからなあ。
　ライト付けたら、また印象変わるやんなあ。」

この後、更に電飾のことまで悩むのか。

Aは眉間に手を当てて、思わず瞑目した。

こんなことなら、もっと小さい、
オーナメントを付ける場所にフックが付いた、
昨今よく見かけるシンプルで大人っぽいツリーを買えば良かった。

「さっくんのは後で決めよかなあ。
　照兄の場所先に決める？」

目を開けた先には、ツリーの前で
黄色のマフラーを付けた雪だるまの
オーナメントを持ち、悩ましい声を上げながらも、わくわくを隠せていない顔で
胡座をかいて座る向井の姿。

向井の周りには、2人で探したメンバーカラー分の雪だるまのオーナメントが並んでいた。