Antares 4 ページ4
「…飲ませてくれる？」
向井の甘えたがりは今に始まった事ではないけれど。
どちらかと言えば、甘えたいより甘やかしたい、が強いように思う。
何だかんだで相手の手を煩わせることを良しとはしていない、繊細過ぎる気遣いの彼が、自分が悪いことをした時にこんなお願いをしてくるのは珍しくて、思い切り下がった向井の眉尻を指で撫でながら、Aは小さく笑った。
「勿論。なんでそんな情け無い顔するの。」
「…やって…。」
「酔った恋人の介抱くらい、喜んでするよ？」
「こいびと…。」
「恋人。違うの？」
「ち、違わへん。違わへん。」
ぶんぶんと大袈裟なまでに頭を横に振った向井が、またぎゅうとAに抱き付く。
戻ってしまった体勢に、また暫く出番の貰えそうにないペットボトルを見て、Aは小さく息を吐いた。
「飲み会で何かあったの？」
蓋を閉めたペットボトルを床にもテーブルにも置けず、不自由な体勢のまま、Aは空いた片手で向井の背を撫でる。
「…友達が彼女さんできたって、言うてて。」
「おめでたいね。」
「せやねん。初めは、みんなでやったやん！って
お祝いしとってんけど、そっから惚気話が始まって。」
「あるあるだねえ。」
「デートでどこどこ行った、とか、
こんな美味しいもん食べ行ったとか、
映画館で号泣してる彼女さんが可愛かったとか。」
「可愛いこと話してるね。」
類友とはこのことなのか。
向井の挙げる男友達との話題の可愛らしさにAが思わず笑うと、抗議するように向井の腕に力が一瞬込められる。
「…で、俺に言うねん。」
「ん？」
「アイドルは、恋人出来ても大変よな、って。」
「ああ…。成る程、ね。」
Aは手にしたペットボトルをラグの上に転がして、両手で向井を抱き締める。
微かに向井の体が震えた。
「どこでもは、連れてってやれへん。
遊ぶとこも、ご飯屋も。
映画館も、一緒に行けん。」
「まあ、そうね。」
「俺の彼女かて可愛いんやぞって、自慢できひん。」
「それはしなくていい。」
「…Aさんにも、恋人が居るって
恋人とこんなデートしたって、お友達に話すの我慢させとる。」
「我慢って程じゃないけど。」
「本当なら、しやんくていい我慢、色々させとる。」
じわり、と肩口が濡れる感触を感じて、Aは向井の頭をそっと撫でる。
この涙に彼の不安と悲しさが全て溶けてしまえば良いのに、と願わずにはいられない。
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» いつもありがとうございます^ ^この可愛さは彼にしか出せませんよね〜(//∇//)書いてて自分でもにやにやしました（笑） (11月12日 10時) (
レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - うわ〜、何 この可愛らしい世界(*ﾉｪﾉ)ｷｬｰ めっちゃニヤニヤしながら読んじゃいました(笑) (11月12日 9時) (レス) id: f6a74c2234 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - わたたいさん» 初めまして。リクエストはお受けしていないのです。よろしくお願いします。 (11月12日 1時) (レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
わたたい(プロフ) - こんばんは!リクエスト大丈夫ですか？ (11月12日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - ひまわり。さん» ありがとうございます☺️楽しみに思っていただけると嬉しいです☺️みんな魅力的過ぎて、本当書いてて楽しいです（笑） (8月17日 20時) (レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年8月6日 17時
