Antares 2 ページ2
「…やだって…言わんで…。」
向井の顔を上げさせようと、繋がれた向井の手ごとAが手を持ち上げようとすると、向井が頭を微かに振る。
その仕草に、Aは困ったように眉尻を下げて
もう一度、向井の手を握り直す。
「ごめんね。康二のことが嫌とかじゃないよ。
でも、急に何も言わずにされたら
ちょっと怖いし、心配になるの。
酔ってるからだって分かってても。」
繋がれた手の親指で、向井の手を撫でながら
向井の肩にAも額を当てた。
あやすような、甘やかすようなAの声と仕草に
向井の腕が少しだけ緩んで、蚊の鳴くような声がしたと思えば、また涙が溢れたのか、Aの肩口がまた濡れた。
「…ごめん、なさい…。」
「ううん、もう大丈夫。大丈夫よ。」
それでも離されることのない向井の手と腕。
向井の涙を拭うことができないことを、Aはもどかしく思いながら、向井を安心させたくて、向井の肩に当てた額を更にぐり、と押し付けた。
暫くの間。
どちらも何も言葉を発することはなく
玄関で向井は靴を履いたまま、Aは部屋着をぐしゃぐしゃにされたまま、静かにお互いの体温を伝え合うように、体をぴったりと合わせて立っていた。
向井が鼻を啜る音がした。
少しだけAの肩から顔が離れたのを見計らって、Aはもう一度その手を指で撫でた。
「…リビング行こう？」
未だ向井の顔は見えないが、その頭が微かに頷いたのを感じて、Aがほっと息を吐く。
向井は俯き、かつ、キャップの鍔を下ろしてその表情を隠し、Aの手を握ったまま、ようやくAの体を離して靴を脱ぐと、その手を引いてリビングへ向かう。
普段からは想像も出来ない程静かな向井に
一抹の不安を覚えながらも、Aがそろりと口を開く。
「康二、お水飲も。冷蔵庫寄って。」
「要らん。」
「要るの。…お願い。」
一度は否を言った向井だったが、Aが手を引くと、大人しくキッチンへ入り、冷蔵庫の前で足を止めた。
「ありがと。」
Aがお礼を言って、ペットボトルを一本取り出すと、向井はすぐにまたその手を引いて歩きだし、リビングに着くや、Aの手をぐいと引いて、床に座ると両手だけでは足りないのか、足も絡めてAを丸ごと体で抱き締めた。
抱きしめると言うよりは、抱き込むような、抱き付くような抱擁に、Aは小さく笑った。
向井の首に回したその先で、手にしたペットボトルの蓋を緩く開ける。
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Y.Harumizu(プロフ) - マコトさん» いつもありがとうございます^ ^この可愛さは彼にしか出せませんよね〜(//∇//)書いてて自分でもにやにやしました（笑） (11月12日 10時) (
レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
マコト(プロフ) - うわ〜、何 この可愛らしい世界(*ﾉｪﾉ)ｷｬｰ めっちゃニヤニヤしながら読んじゃいました(笑) (11月12日 9時) (レス) id: f6a74c2234 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - わたたいさん» 初めまして。リクエストはお受けしていないのです。よろしくお願いします。 (11月12日 1時) (レス) id: 245b47ec32 (このIDを非表示/違反報告)
わたたい(プロフ) - こんばんは!リクエスト大丈夫ですか？ (11月12日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
Y.Harumizu(プロフ) - ひまわり。さん» ありがとうございます☺️楽しみに思っていただけると嬉しいです☺️みんな魅力的過ぎて、本当書いてて楽しいです（笑） (8月17日 20時) (レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年8月6日 17時
