Merry Xmas2023(Tatsuya.F) (ページ4)

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Lila leuchtender Weihnachtsbaum 4 ページ4

暫し、不自然に落ちた沈黙を破るように
深澤がテーブルの上の小さなツリーに揺れる、
同じく小さなオーナメントを揺らす。
チリ、とガラスが音を鳴らす。

「ちっせ。」
「可愛いでしょ。」
「壊しそ。」
「壊さないでね。」
「これはこれで、なんかいい。」
「でしょ。しかもね。」

Aが思い出したように、ソファの傍に置いていた
袋から取り出したのは四角い小さなライト。
取り出されたライトの用途が分からないらしい深澤は、瞬きをしてAの手元を見つめる。

Aはライトをツリーのすぐ側に置くと
キャンドルを消して、それからリモコンで部屋の照明を落とした。

パチリ、と硬質な音を立ててAが点けたライトは
紫色で、ガラスのツリーはその色を一瞬で紫に変えた。

「ふっかさんカラーのツリーに大変身。
　ちっちゃいけどね。」

Aが笑って深澤の顔を見ると
僅かなライトの灯りに照らされた深澤は、じっとツリーを見つめていた。

「…えっと、あんまり、嬉しくなかった？」

ただじっとツリーを見つめる深澤に
思わずAが問うと、答えより先に深澤の唇がAのそれに触れた。

「！」
「今年見たツリーの中で、ダントツ気に入った。」

Aの勘違いだったかと思う程の一瞬のキスの後、
深澤は片手で自分の口元を覆う。
その目は、ゆっくりと柔らかく、蕩けるように笑んでいて、思い切り下がった眉尻に、目尻には幸せの皺。
きっとその手の下の口元も同じ様に緩んでいるに
違いなかった。

「俺たちだけのツリーでしょ。まあじ、最高に贅沢じゃね？」
「…ふふ、そうね。私なんて、深澤辰哉が作った、ハムの薔薇食べちゃってるしね。」

深澤のその笑顔が嬉しくて、Aの顔もつられるように笑んでいく。

決して明るくはない部屋の中、深澤色のツリーのオーナメントが、ちりちりと揺れて、光を散らす。

「あんま、先の話すんの、得意じゃないんだけど。」
「うん？」

「来年も、これやって？」