Merry Xmas2023(Tatsuya.F) (ページ2)

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Lila leuchtender Weihnachtsbaum 2 ページ2

首を傾げた深澤に、見ててね、と声をかけてから
Aはハムを切って、くるくると丸める。
それを何度か繰り返し、最後に短く割ったパスタで留めると、出来上がった薔薇を持ち上げて見せた。

「ぅおー！すげ！薔薇！！」
「でしょでしょ。はい、後は辰哉が作って？」
「オッケオッケ。こういうやつは、俺得意だから。えー、まず、え？3等分？」
「そうそう。それでもう1枚は…。」

初めの方こそAに訊いた深澤は
丸める段階になれば、黙々とその手を動かす。
真剣な顔で、1枚重ねては、花弁の角度を見たり
その広がりを調節している。
Aはそれを邪魔しないように、自分の作業に戻り
暫しキッチンには包丁がまな板を鳴らす音と
くつくつとスープが鳴らす音だけが続く。

2人で肩を並べながら。

「出来た！」

深澤が歓喜の声を上げるのとほぼ同時に
オーブンレンジが、メインディッシュの出来上がりを告げた。

「ありがとう。ばっちりのタイミングね。
　薔薇はサラダに飾ってくれる？」
「はいよ〜。我ながら良い出来だわ、見てコレ。」
「本当綺麗。辰哉、器用よね。」
「もっと褒めて良いよ。」

得意気に顎を上げた深澤は
出来上がったハムの薔薇を、一つ一つ丁寧に
サラダに乗せていく。
一つだけをまな板に残して。

「？それは乗せないの？」

失敗作にも見えないその一輪にAが首を傾げると
深澤は戸棚から取り出した小皿にその一輪を
優しく優しく乗せる。
それから愛おしいものでも見るように
その薔薇を見て、口角を上げた。

「これは俺の。」
「？」
「Aが作ったやつだかんね。これは俺専用。」
「！！！」
「サラダはこれで完成？あっち持ってっていい？」
「あ、うん…、お願いします。」
「あいよ〜。」

深澤は語尾に音符でも付いていそうな
ご機嫌な声音で返事をして、
片手にサラダ、片手にAの作った薔薇を乗せた小皿を持って、リビングへと向かう。
その背を何とも形容し難い、恥ずかしさと照れと
嬉しさの入り混じった気持ちでAは見送る。
どうしても緩んでしまう口元を手で隠しながら。