Nigella 6 ページ6
「阿部くん程じゃないかもしれないけど、ゲーム上手いんでしょ？」
聞き覚えのある言葉と
揶揄いの滲むAの声に、ようやく、ぎくりとした。
「コーヒーも料理も出来るんだもんね？
向井くんの見てたから。」
「っ！！！！」
完全なる無意識。
そこを突かれて、一気に顔に熱が集まる。
くすくすと笑うAの吐息が湯気を揺らしていて
それすら、羞恥を煽る。
「な」
「辰哉がやってるゲームを、
私が３人のおすすめで始めたの、
面白くなかった？」
「はっ」
「それとも、私が３人のおすすめする
ゲームばっかりしちゃってたの寂しかった？」
「ちげっ、はあ？ほんと、何言ってんの！？」
「あんまり興奮すると、もっと顔赤くなっちゃうよ？」
「なっ、これは、コーヒーが！」
「そんなに熱くないでしょ？
初めて見るかも、辰哉のそんな顔。
まだまだ知らないことが、たくさんあるね。」
そのAの言葉に、嬉しそうに笑うその顔に
体も頭の中も、一層熱くなった。
だってそれは、さっき。
「…っ！」
過程は違えど、同じ事を考えたなんて。
Aの手にあるマグカップを、すっかり冷たくなったゲーム機の横に置いて、その手を引いて寝室へ向かう。
「は？えっ、ちょっと、何？辰哉？怒ったの？」
「怒ってない。」
「怒ってるじゃない、え、なに？
さっきより、赤くなってない？何で？え？」
「黙って！頼むから黙って！！」
寝室に押し込んだAの顔は、見たことがないくらい驚きと困惑の色を濃くしていて、ああこれも初めてだ、なんて思いながら、まだ何か言いたそうなAの唇に噛み付いた。
fin.
終わり
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Y.Harumizu(プロフ) - 櫂さん» ありがとうございます^ ^可愛い系の紫様は初めてだったので、笑っていただけたなら、本当に嬉しいです。 (9月18日 22時) (
レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - ここまで自然に声に出してふっと笑えた作品は初めてかもしれません……！素敵なお話をありがとうございました！ (9月18日 0時) (レス) @page6 id: a2cc3a07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年9月13日 17時
