Nigella 1 ページ1
かちかちかち、と。
今日の深澤の家に鳴るコントローラーを弄る音は２つ。
深澤は自室のゲーム機の前で伸びをすると、スマホの画面で時間を確認する。
ゲームを始めてから２時間半。
眼鏡を外して、目頭をギュッと摘み、椅子から立ち上がってリビングへ向かう。
深澤がゲームを、Aがその時々の趣味を、それぞれ別の部屋ですることは、２人にとっては当たり前の時間。
勿論同じ部屋で過ごすこともしばしば。
リビングに続く扉を開けて中を覗くと
ソファの肘掛けに背を預けて、膝を立てて三角にした姿勢で、珍しくAがポータブルのゲーム機を操作している。
ゲーム機に繋がれたイヤホンがAの両耳に繋がっているせいか、深澤が入ってきたことに、Aが気付く気配はなく、真剣な顔で画面を見ている。
その手元から鳴る、かちかち、という音は、自分や向井の鳴らす音よりずっと控えめで優しい。
こんな所にも性格が出るものなのだな、と
新しい発見をする。
それにしても、そんなに真剣な顔で何のゲームをしているのか。
出来るだけ静かにソファに近寄ると、流石に気付いたらしいAから、ちょっと待ってね、と声がかかる。
操作を続けるAの画面を覗き込むと、そこには某有名なカラフルなイカのゲーム。
ちょっと意外なチョイスに、目を丸くする。
１ゲームが終わった所でAがイヤホンを片方外し、ソファの背もたれに腕だけ置いて立ったままの深澤を見上げる。
「もう終わったの？」
「目が限界きた。」
「私、もう少ししててもいい？」
「もちろん。そんな楽し？」
「何か、ハマっちゃった。」
「珍しいね、そういうのするの。
俺がしてる時、あんま興味なさそうだったじゃん？」
「この間、佐久間くんと阿部くんと向井くんと
話してて、３人の話聞いてたら興味湧いたの。」
「ふーん。俺もやろうかな。」
「辰哉強すぎるから、やだ。
もうちょっと私が上手くなったらね。」
そう言ってイヤホンを戻したAに、深澤は笑って自分はAの足元、床のラグに座ってスマホを取り出す。
Aがゲームをして、自分がその横で別の事をする、というのは新鮮で、不思議な気分になる。
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Y.Harumizu(プロフ) - 櫂さん» ありがとうございます^ ^可愛い系の紫様は初めてだったので、笑っていただけたなら、本当に嬉しいです。 (9月18日 22時) (
レス) id: 3d23a8217f (このIDを非表示/違反報告)
櫂(プロフ) - ここまで自然に声に出してふっと笑えた作品は初めてかもしれません……！素敵なお話をありがとうございました！ (9月18日 0時) (レス) @page6 id: a2cc3a07ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Y.Harumizu
| 作者ホームページ：http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時：2023年9月13日 17時
