Sweet poison for you(Tatsuya.F) (ページ7)

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Sweet poison for you 7 ページ7

人は、自分がされた事と、同じ事を相手に返さねばいけないと思う生き物らしい。
名乗られれば、自分も名乗らなければと思うし
自己開示を受ければ、自分の話もしなければと思う。
贈り物をされれば、同じだけ返さなければと。

その原理が真実ならば。
返せない程の金額の物を貰ったAは何を自分に返してくれるだろう。
彼女からの奉仕、彼女の時間、彼女の想い、
それとも。

Aと体温を感じながら、危ない危ないと、深澤は胸の中で呟く。
今回は失敗する所だった。
Aが感じる罪悪感が勝って、別れ話になってしまっては元も子もない。

Aが可愛すぎて、ついつい買ってしまう自分を制御出来なかった。

そんな自分が可笑しくて、歪めた唇を
Aの頭に寄せて、深澤はそっとキスを一つ贈る。

返しきれない贈り物を、ずっとずっと贈り続けたら。
最後の最後にAはきっと、深澤が欲しくて欲しくて堪らないものを、深澤に与えてくれるに違いない。

愛情と少しの罪悪感に塗れたAの未来を、きっと。

その日を楽しみにしながら、深澤もゆっくりと夢の世界に落ちていく。

愛情なんて、そんな不確定で不安なものにだけ頼るなんて出来ない。
もっと、もっと確固たるもので。

fin.