Sweet poison for you(Tatsuya.F) (ページ4)

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Sweet poison for you 4 ページ4

深澤は話も上手いし、人のコントロールも上手い。
深澤のソレの質が悪いのは、無意識だろうが意識的だろうが、その手腕が発揮される事だ。
それが天性の才能なのか、これまでの努力と経験で無意識にも発揮されるレベルまで磨き上げられた技術なのか。
前者２割、後者８割だとAは踏んでいるが、本当の所は分からない。

Aの眉間の皺を見て、眉尻を下げた深澤の指がそれでも止まらない所を見ると、どうもその指は無意識の懐柔策らしかった。
Aが小さく息を吐く。

許してほしい、受け入れてほしい、と深澤の瞳が揺れている。

「それは違うよ。辰哉が買った自分の物は、泥棒に入られるか辰哉が手放さない限り、辰哉の財産だけど、私にくれた物は辰哉の手元には残らないんだから。」
「でも、それを持ったAが俺のとこに居てくれんだから、同じじゃん。」
「別れることもあるでしょ。」
「は？」
「可能性の話だから。
　それに私が辰哉の知らない所で、貰ったプレゼント売っちゃうかもしれないでしょ。」
「それでも別にいいし。プレゼントなんて、結局俺の自己満だしさ。」
「辰哉。」
「俺があげたいと思うから、あげたいの。
　後から返せとか絶対言わないし、何がダメ？
　そういうもんじゃないの、こういう関係って。」
「そういうもの？」

言いづらそうに、泳いだ深澤の視線はAの手元に落ち着いた。
ぽつりぽつりと、普段より小さい声で深澤が言葉を発する。

「喜びそうな物見つけたら、あげたくなるっしょ。
　良いって聞いたらあげたくなるし、美味いもん食ったら、食べさせたいなって思う。
　喜んだ顔見たら嬉しいし、もっと見たいって思う。喜んでほしいの。」

深澤の言葉に、Aは目を丸くした。
深澤からこんなにストレートな言葉が返ってきたことが意外で、顔が熱くなる。

「それに、普段我慢させてる事もあんじゃん。
　一緒に居れない事も多いし。
　だから、その分も、何かしてえの。
　ねえ、そんなダメな事？」

視線を上げた深澤の目には、顔を真っ赤にしたAの顔が飛び込んできて、堪らずその頬に深澤は指を伸ばした。
折った人差し指で、そっと熱い頬を撫でる。