Filled with happiness(Tatsuya.F) (ページ3)

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Filled with happiness 3 ページ3

急に水を向けられて、阿部は大きく瞬きをした。
やはり深澤は楽しそうに笑ったままだが
逆にその笑顔が怖いのは、阿部の勘繰り過ぎだろうか。

「ま、まあ。理由は何であれ、勉強するのは良い事だし。」

それでも向井達の肩を持つように
阿部がそう答えたのは、所詮阿部も年少組に甘いからに他ならない。

「そうだけどさあ。
　康二だけ頭良くなるの嫌じゃん。」

深澤だってそうだ。
しつこさと、表情の解釈はさておき
ラウールと向井に向ける声は、今もどこか優しくて甘い。

阿部の言葉に肩を竦めた深澤が持ち上げた紙には
沢山の時計の文字盤の絵と、簡単な計算式。
書かれた数字は、少し柔らかくて綺麗で
Aの字を知らない阿部にも、それがAの書いた文字だと分かる。

その文字を指で撫でた深澤の目元が
一瞬、甘く蕩けて、その口元が緩んだのを
阿部は見逃さなかった。
その滅多に見ることのない甘やかな顔に
思わず、うわ、と声が出てしまったのは仕方ない。

そんな阿部に向けられた、
にぃと瞳を細めた深澤の笑顔には
もう先程の甘さの欠片は一片もなく
ただ、いつものゲームを楽しむ時の悪い顔で。
阿部は自分の口元を手で覆った。

「はーん、俺、康二が勉強してる理由分かっちゃったかも。」

にやにやと笑う深澤に、向井は頭を抱え
ラウールは、あーあと言いながら苦笑し
Aは眉尻を下げて笑いながら、深澤と向井を交互に見ている。

「お前さあ。そんなに俺にあのゲームで負けたの悔しかったの？」
「うあー！！！言わんとって！！」
「たかがゲームじゃん？俺の方が頭がちょーっと柔らかいってだけじゃん？」
「あー！！ほんま！もう！！
　やから、ふっかさんにはバレたくなかったのに！！」

にやける口元に手を当てながら
向井を揶揄う深澤は、本当に楽しげで
揶揄われる向井は本当に悔しそうだ。

分数に時計の問題。
それは、阿部も１度参加したことがある
ゲーミングルームの撮影で対決した某ゲームで
出題される、向井が大の苦手とする問題だ。