Merry Xmas2023(Ryohei.A) (ページ4)

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echtes Weihnachten 4 ページ4

「違うの。絶対切り方はこれがベストだったの。」
「うん。」
「ただ俺の切るスキルが足りなかったの。
　ねえ、笑うのやめて。頑張ったんだから。」
「分かってる、ふふ、ありがとう。
　大丈夫、どんな見た目でも味は変わらないから。」
「もう、意地悪。飾り付けたまま切るなら
　初めに考えながら飾ったのに！！」

悔しそうな顔をした阿部と肩を震わせるAの前には、半壊しながらも辛うじて飾りを残して、切り分けられたケーキ。
中に入っていた筈の苺はスポンジの中を飛び出して
皿の隅に並んでいる。

そんな不恰好なケーキすら、こんな下らないやり取りすら楽しくて、フォークを手に取る頃には
阿部もAもまた笑っていた。

「すごく沢山笑った気がする。
　ほっぺたちょっと痛い。」
「そうだね。俺もめっちゃ笑った。
　本当はもっとお洒落になるはずだったんだけどなあ。」
「これはこれで楽しかったから、良いじゃない。」
「まあね。あー、ケーキ美味しい。」
「美味しいね。コーヒー淹れる？」
「ん、そうだね。俺淹れてくるよ。」
「いいよ、私淹れてくるから。亮平くん座ってて。」

立ちあがろうとする阿部を制したAの手を
阿部は握ると、その手を引いて２人で立ち上がる。
不思議そうな顔をしたAの手を引き
阿部はそのままキッチンへ向かう。

「ラウールに見られながら、あそこに1人でいるの
　やっぱり恥ずかしいから、一緒に淹れよ。」
「ふふ、そんなに？
　本当は離れるのが寂しいだけでしょ、
　今日はずっと傍にくっついてたから。」

なんて、と続けようとしたAの唇に
掠めるように阿部の唇が触れて、悪戯っ子のように笑う。

「Aさん、大正解。だから一緒に行こ。」
「……ずっるい…。」
「何のことかわかんなーい。」

頬を染めたAの手を楽しげに引きながら
阿部はチラリとAを振り返る。

海外では、クリスマスは恋人よりも
家族で過ごすことが一般的で
今は恋人として過ごす、コンセプトなクリスマスを
いつか本場と同じように過ごせるようになりたい、なんて。

そんな願い事を靴下の中に入れたら
唯一願いを叶えられる、可愛いサンタクロースは
願いを叶えてくれるだろうか、と
そんな浮かれたことを考えて、阿部は幸せそうに笑みを深くした。

fin.