百一、 ページ16
_Aside_
「……‘居なくなった’んじゃない」
余は、自分の意志で あの場所を発った。
中「じゃぁ何で…」
合わせた視線は、とても朧げな瞳をしていた。
濁っているようで、然し何故か或る種の輝きを放つ瞳。瞳を覆う霞は、一体何だろうか…。
「余の異能力は、確かに貴方の異能力を打ち消す事が出来るし 解除する事だって出来る。
……だからと云って、余の異能力を貴方に使う事は出来ない。
貴方の異能が命懸けな様に、余の異能も 命懸けだからな」
“イワク”が絡んだ、異能力。師が残した、異能力。
中「―――手前ェは、彼奴の味方をするんだな」
じわりじわりと、身体全体を視えぬ何かが纏わりつき始める。
……此れは、真逆ッ
咄嗟に異能力を使おうとするも、奴の手に因って余の両目が閉ざされている。
じわりじわりと身体全体が見えぬ何かに押し固められていくのが、視界情報を失った余に唯伝わる。
「ッ放せ、中原中也!」
中「今手放せば、手前ェはもう帰って来ねェかもしンねェのに……?」
此のお方に日本語が通じないようなのだが……
仮にも余は今買い出しの最中で、うずまきにはいつもの給女さんが待っている。
急いで何か策を練らないと、本気で此処から出られなくなりそうだ……!
中「首領には俺から言っといてやる。あの野郎が空けてる幹部席に、手前ェが就けば 俺ァもう我が侭なんざ云わねェ…。
此処から、アイツの痕跡を何一つ残らないように…… な?」
……憎むが故か、恨むが故か…。
冗談のようで、冗談じゃない言い分に 如何返答すれば良いか悩まれる。
奴の云う‘幹部席’とは、ポートマフィアの五大幹部の事だろう。
森鷗外・尾崎紅葉・中原中也・A……。此の4人が現在の五大幹部様だ。
…成る程。不在の一席は太宰さんの分だったのか…。
なんて、吞気に考えて居たら……
太「やぁ中也。相変わらず帽子だけは趣味が良いねぇ…。
まぁそんな事よりも…、其の彼女 返してもらうよ。
異能力[人間失格]」
閉ざされた視界の中、太宰さんの声がした。と同時に、身体には本来の重さが残る。
太宰さんが異能力を使ったという事は、かなり至近距離に居るのだろう。
だとすれば、中原中也が黙ってはいない。
中「手前ェッ!!」
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総仁(プロフ) - 蒼い月さん» コメントありがとうございます! 文ストからしばらく離れた弊害ですね、思いっきり間違えてました( ; ゜Д゜) ご指摘ありがとうございました! (2018年9月5日 16時) (レス) id: 99e155bd2e (このIDを非表示/違反報告)
蒼い月(プロフ) - 更新頑張ってください!あと、中也さんの太宰さんの呼び方なんですが、クソ蛞蝓ではなく、クソ鯖だと思います。 (2018年9月5日 13時) (レス) id: 4d8d336456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:総仁 | 作成日時:2018年3月19日 23時