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7話 ページ8

「『独歩吟客』」

そう言って、国木田さんは手帳に何かを書いていく。
ガリガリと言う音が響き、その音が絶えると国木田さんはその頁をビリっと破った。
その頁には『鉄線銃』と書かれている。
と、切り離された頁は白く光だした。

「手帳の頁を――鉄線銃に変える。」

国木田さんのその言葉と共に、鉄線銃が落ちてきた。
頁が鉄線銃に変化したのだ。
国木田さんはそれを素早く構え、爆弾魔に向かって撃った。
ドンッと言う音がし、ヒュッと鉄線が飛んでいく。
そして、鉄線は爆弾魔の持っていた起爆装置を吹き飛ばした。

「なっ……」
「確保っ!」

驚いている爆弾魔を見て、太宰さんが叫んだ。
それに答えるように国木田さんが動く。
爆弾魔がハッとしたように国木田さんを見るが、回避する術もなく国木田さんの蹴りを顎に食らった。
ガシャンッと言う大きい音の後、そちらを見ると国木田さんが爆弾魔を押さえているのが見えた。

「一丁あがりー。」

太宰さんはそう言って、ヒョイと此方に来た。
隣で中島さんがへな……と座る。
爆弾を見ると、タイマーは停止していた。

(良かった……)

ふと後ろを見ると、太宰さんが此方にグッと指をたてていた。
隣で中島さんが手を振るのが見える。

(………えっ?)

突如、中島さんの後ろから手が現れ中島さんの背中をトンっと押した。
油断しきっていたであろう体は、ゆっくりと前に倒れていく。
隣にいた俺も、止めることは出来なかった。

「ぶッ!!」

ビタンッと音を立て、中島さんが転けた。
その時、手の下からピッと言う音がする。
ピ?と中島さんが手を退かす。
そこには起爆装置が。

「あ」
「「あ」」

中島さんの言葉の後、太宰さんと国木田さんが同時に声を漏らした。
ピッと音を立てて、タイマーがまた始まった。

「ああああぁああぁあッ!??爆弾!爆弾!あと5秒!?」

後ろを見ると、皆固まっている。
俺は、直ぐにコートを脱ぎ爆弾に被せた。
と、何を思ったか中島さんがその上に被さる。

「……そんなのしなくて良い。誰も死なないから。」

俺が早口で告げると、中島さんは顔を上げた。

「……何故!?」
「……だって、―――――――だから。」
「えっ?」

俺らの会話の間にも、タイマーは進んでいく。
そして、数字は0に――。

「……ね、言ったでしょ。」

俺の言葉に、おずおずと顔を上げた中島さんを見下ろす国木田さんと太宰さん、それから――爆弾魔。

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来栖久遠 - そうですね。書き直します!コメントありがとうございました! (2018年5月12日 19時) (レス) id: 7d8c2c7b97 (このIDを非表示/違反報告)
つお/どさんこ(プロフ) - 異脳者ではなく異能者では?異能力を持つ者、という意味があるなら「異能者」が合ってると思いました。頑張ってください。 (2018年5月12日 18時) (レス) id: 686c535011 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:来栖久遠 | 作成日時:2018年5月5日 18時

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