塩31g ページ33
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お昼ご飯も食べ終わり、そろそろこの宿舎に長居するのも悪い気がしてきた。
「そろそろ帰るね」
本来の目的はユンギに会いに来るってだけだったし。
ユンギのベットに置きっぱなしだった自分の服に着替えるとユンギは複雑そうな顔をしている。
「もう帰んの?」
もっとおれよ、とでも言いたげだ。
「うん、長居しちゃ悪いし」
「ふーん」
手に頬杖をついて不屈そうな顔をしている。
そんな顔をしているユンギを見るのは新鮮だ。
私のためにそんな顔をするだなんて初めてだ。
ペアルックになっていた白のシャツを脱ぎ、昨日着ていたシャツを着る。
黒のスウェットパンツも脱いで、昨日の私に戻る。
「何着ても似合うな」
ゆっくりと私に近づいて、下ろしている私の茶色く染まった髪をその白くて細い指で絡める。
そしてその指は私の首をなぞる。
緩く動く指先は文字でも書いているみたい。
「何書いたの?」
「俺のモノ、って書いた」
そう言われた瞬間、なぞられた部分がじんわりと熱を帯びる。
「そんなの書かなくても、私はユンギのモノだよ」
「念のためだ、念の」
そう言った瞬間、リップ音が部屋に響いた。
そして首筋に小さな痛みが走る。
傷んだところをぺろりと舐めるユンギ。
「変な愛情表現」
「それが嬉しいくせに」
後ろにいたユンギはいつの間にか目の前にいて、後頭部に大きくて、少し冷たい手が添えられる。
目の前にはユンギが。
ユンギの目には髪を下ろした女性、私がいる。
お互いがお互いをガッチリと逃げられないように捕らえあう。
そして額同士をコツン、と引っつける。
「Aが帰ったら、寂しい」
最後になるにつれ小さくなった言葉は、ユンギの勇気と気持ちが込められていて、そんなユンギを愛おしく感じる。
「私も、ユンギと離れるのは寂しい。
けど、他のメンバーさんに迷惑かかるから」
ごめん、そう言うとユンギは仕方なさそうな顔をした。
こればっかりは、どうしようもない。
「帰る前に、Aに触れたい」
「うん、私もユンギに触れたい」
ゆっくりと重なる唇。
後頭部に添えられていた手で抑えられて、逃げられないように、逃げないようにホールドされる。
何度も何度も重ねられる唇に、愛を噛み締めた。
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しゃしゃねこ(プロフ) - 未緒さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて幸いです! (2019年4月29日 22時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - おもしろかったです。 (2019年1月6日 15時) (レス) id: 36c5d68dfd (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - KangOneさん» コメントありがとうございます。キュンキュン?!うわあ、最高の褒め言葉ありがとうございます!!このユンギさん、甘々デロデロすぎて元のユンギさんが行方不明になってしまいましたが笑笑 何回も見返してくださってるんですか?!嬉しすぎます!ありがとうございます (2018年9月9日 22時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
KangOne(プロフ) - 初めまして!この作品すごく好きです、めっちゃキュンキュンしました!!私はユンギペンで、こんなに愛されたいなあと思いました(笑)何回も見返してニヤニヤしてます! (2018年9月9日 0時) (レス) id: 6681273a8f (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - ぽぬこんさん» コメントありがとうございます。ユンギペンなんですか!! キュンキュンしてくださりありがとうございます笑 (2018年4月29日 21時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃしゃねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/KanonGintoki/
作成日時:2018年4月7日 6時