塩23g ページ25
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誤魔化しが効かない、そう思って諦めたのもあるが、Vさんになら、相談してもいいんじゃないかと思ってしまった。
話してしまう怖さ故に唇は震える。
そんな私を優しく見つめるVさんは、どこまでも優しい。
震える唇を必死に動かして、私は声を振り絞った。
「実は、彼氏といろいろあって…」
「その彼氏って?」
「…シュ、シュガ…です」
そう私が言うとVさんの大きな目はより一層大きく見開かれた。
うっそ…だなんて声が聞こえるぐらいで、そんなに衝撃的だっただろうか。
いや、衝撃的で合ってる、普通メンバーがただのメイクアップアーティストと付き合うとか誰も思わない。
Vさんの方を見ると、驚いている反面、どこか嬉しそうだし哀しそう。
「ユンギヒョンだったんだ…」
「このことは誰にも言わないでください」
「わかってるよ、安心して」
ぽんぽんと頭を撫でられてむず痒い気持ちになる。
ユンギもこんなふうに優しく頭を撫でてくれた日がすごく昔のように感じる。
「…ユンギヒョンと、何があったの?」
「最近、ユンギ忙しいじゃないですか。
1ヶ月に1回は会ってたのに、今月は会えないんです」
「それで、寂しいんだと」
小さな子供あやすかのようにゆっくり優しく抱き寄せてくれたVさんに身を預ける。
Vさんは暖かくて、人肌恋しかった私は泣いてしまった。
「…Vさっ、ユンギに、あい、たい...」
会いたいよ、ユンギ
Vさんの大きな胸でぐすぐすと咽び泣く私を、
暖かくて大きな手で優しく抱きしめて、撫でてくれるVさん。
「そんなにユンギヒョンのことが好きなんだね」
「…だい、すきです」
「ユンギヒョンは愛されてるなあ」
二ヒヒと口を四角くして笑うVさんをオッパのように感じてしまう。
抱擁力のある男性とはこのことだろう。
大丈夫だよ、寂しいよね、と優しく囁いてくれるところとかまるでオンマのようで、オッパのようでもある。
そしてVさんは何か思いついたように言った。
「そんなに会いたいなら、会っちゃおうよ」
「え?」
「今日の仕事終わり、宿舎に行こう。
ユンギヒョンもいるから」
「…それは、」
迷惑がかかってしまう。
ユンギには迷惑かけたくないんだ。
ダメだ、そう言おうとしたらVさんの指が口元に当てられた。
「もうヌナの悲しんでる顔は見たくないの。
自分に素直になりなよ、ヌナ」
あぁ、もう。
そんなふうに言われたら行きたくなるじゃん。
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しゃしゃねこ(プロフ) - 未緒さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて幸いです! (2019年4月29日 22時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - おもしろかったです。 (2019年1月6日 15時) (レス) id: 36c5d68dfd (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - KangOneさん» コメントありがとうございます。キュンキュン?!うわあ、最高の褒め言葉ありがとうございます!!このユンギさん、甘々デロデロすぎて元のユンギさんが行方不明になってしまいましたが笑笑 何回も見返してくださってるんですか?!嬉しすぎます!ありがとうございます (2018年9月9日 22時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
KangOne(プロフ) - 初めまして!この作品すごく好きです、めっちゃキュンキュンしました!!私はユンギペンで、こんなに愛されたいなあと思いました(笑)何回も見返してニヤニヤしてます! (2018年9月9日 0時) (レス) id: 6681273a8f (このIDを非表示/違反報告)
しゃしゃねこ(プロフ) - ぽぬこんさん» コメントありがとうございます。ユンギペンなんですか!! キュンキュンしてくださりありがとうございます笑 (2018年4月29日 21時) (レス) id: 0f734cf238 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃしゃねこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/KanonGintoki/
作成日時:2018年4月7日 6時