塩+塩＝？ YG*

塩１１ｇ ページ13

.






朝起きて、いつものように洗面所へ行き顔を洗う。

胸元で揺れるネックレスについ目がいき、自然と幸福感に満たされる。


朝ごはんを食べて、メイクをし、通勤ラッシュ最中の電車に揺られながら職場へ向かう。


いつもと何ら変わらない、そう思っていた。



上司に社長がお呼びだ、そう言われて社長室へと向かった。


本社勤めの私はそのまま社長室へと行けて、会社の最上階にある社長室まで緊張しながら向かった。



何かやらかしてしまったのか、冷や汗をかきながらついに着いた社長室。


コンコン、とノックをすれば入れという声がした。





「失礼します」

「そこに座ってくれ」






社長室の大きなソファに座るよう勧められると、秘書の女性に高そうな紅茶を出してもらう。





「今日君を呼んだのはな、

アイドルのメイクアップに専念して欲しいんだ」

「...つまり今まで主にやったきた舞台やファッションショーのメイクアップはしないでくれ、ということですか？」

「簡単に言うとそういうことだ。
最近、アイドルのメイクアップがやたら多かっただろ？」





確かに、言われてみればそうだ。

ここ1ヶ月、主にやっていた舞台などのメイクアップなどは全く回されなくて、アイドルのメイクアップばかりだった。



「Aさんのメイクアップがアイドル界で評判がいいんだ。昨日は防弾少年団のメイクアップがあっただろ？」

「…はい」

「これは君にとっても悪いことではないんじゃないかな？
アイドルのメイクアップ専属で人気になったメイクアップアーティストは少なくない、どうだ、やってみないか？」




アイドルのメイクアップ専属ということは、もう舞台やファッションショーのメイクアップは出来なくなるかもしれない。

何度かメイクアップさせてもらって仲良くなった俳優さんや、女優さん、モデルさんとの関わりがなくなってしまうのかもしれない。


逆にアイドルのメイクアップ専属になれば、ユンギと会う機会が増えるかもしれない。

社長も言っていたが、アイドルのメイクアップで今や世界的なメイクアップアーティストになった人も多い。


どちらも大切で、やりがいがあるのには変わらない。

どちらもやりたいという我儘は効かないのは分かる。







「…少し、考えさせてもらってもいいですか」







そう私が言うと社長は、「なるべく早くにお願いね」と、言った。




どうしたらいいんだ、分からない。







.

塩１２ｇ→←塩１０ｇ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す