殺人犯に恋をしました .TH 2

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HS side






「………A、テヒョン」

　




　







　



言葉を失った。

　


　





　



電話の通りに、自宅から遠く離れた港まで車を運転してきた。

　


　








そこで見たものは、沢山の警察官と、

　



　



変わり果てたAの姿。

　




　



　



テヒョンに支えられ、やっと立っているAの体はもう、

　


　



誰かが支えないと崩れ落ちそうで。

　


　





本当に、傷だらけだった。


　


　



　
　
　

『………ホソク、オッパ……』


　






俺のことを見て、そう弱々しく呟くA。

　

　



　




俺も、消え入りそうな声で呟く。




　

　



　


「…テヒョン、Aを、

　


　



俺のAを、返せ」

　



　




　





『……ごめんね、オッパ』


　



　








だが、

　


　




　


Aは、何故かテヒョンの側から離れようとしなかった。

　



　






それは、人質に取られているから、という訳では無く。



　


　







　




逆に俺達のことを怖がっていた。


　



　




「……A…?






　


…テヒョンは殺人犯なんだぞ、お前を誘拐して、お前を沢山傷付けた奴なんだぞ……?


　






　


……なのに、どうして」

　

　
　
　
　

　


『…………ごめんなさい』

　


　




俺達に近付くどころか、逆にテヒョンに隠れるようにして、
　


　


　





テヒョンの腕にしがみつく。

　


　
　
　
　



　


『………私はもう、オッパが望んだような人間じゃないの

　

　

　




　


…テヒョンに殺されることが、私の幸せだから』

　


　


　





　



　


涙目で、微笑んでみせた。

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