クリムゾン・ラヴ (ページ8)

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テヒョンさんとそんな事があって

数日後

あれからテヒョンさんとは機会がなくて

顔を合わせていない

あの時のことすら

記憶から薄れかかってきてる気がする

あれは、夢だったんだ

そんな事を思いながら

いつものように、講義を受けた後

ジアンと別れ、教授にこの前書いたレポートを提出しに行った時の事だった

「ちょっと、」

後ろから聞こえて来た

知らない人の声

振り向くと

知らない女の人が立っていた

巻いた茶髪に真っ赤な口紅

短いワンピース

見るからに、派手だ

「はい？」

「アンタ、テテの何なの？」

「え？」

突然意味の分からない事を言われて

口をつぐんだ

テテって、誰？

この人、誰？

言葉を発さない私に苛立ったのか

女の人が、顔を歪めて

ヒールをカツカツ言わせながら

私に近づいてきた

「だから、テテの好きな人ってアンタなんでしょ！？
あの時、全部聞いてたんだから！！」

「えっ…？」

「あたしのテテを返してよ！！
ムカつく…ムカつくのよ！！」

そこで、やっと意味が分かった

テテって

テヒョンさんのこと…？

私の目の前で

ひとしきりそう叫んだ後

私の腕を

強く掴んで

何処かへ歩き出す

「痛…っ」

その細い腕のどこに

そんな力があるのかと思うほど

強く腕を掴まれて、痛かった

.

ドンッ

冷たいタイルの上に

肩を押されて、バランスを崩す

連れて行かれたのは

近くにあった、女子トイレだった

私を見下ろす

怒りのこもった目

「死んでよ」

そう呟いた女の人の手には

放り投げたバッグから取り出した

カッターが握られていた