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「…」
バクバクと早くなる鼓動。
頭がぎゅうっと締め付けられる痛みがする。
言葉が出てこない。
息をどうやってすればいいのかわからなくなって、苦しい。
テヒョンがどんな顔してるのかわからない。
涙で視界がぼやけて見えない。
「あー…ごめん。そんなに泣かないで。
意地悪なこと言ってごめんね。」
スマホを放り投げたテヒョンは
私の頬を撫でた。
スマホが床に落ちる音に、大袈裟に肩が跳ねる。
頬に触れる手が氷みたいに冷たくて、鳥肌が立つ。
「ねぇA…俺たち結婚しよう?」
「…え?」
突拍子のないテヒョンの言葉に、耳を疑う。
今、なんて。
「大学なんて辞めてさ。
そうしたら俺だけのAにできるね。」
頬にさらりとテヒョンの髪がかかる。
耳元でテヒョンが囁いた。
「あ、そうだ。先に子供欲しいな。」
まるで悪魔のような囁きに
頭が言葉を理解したくないと言っているみたいに
ガンガンと痛くなる。
「俺との子供なら、Aの両親もきっと許してくれるよ。」
「…どう…いう意味?」
「えー?だって俺はヒョンと違って気に入ってもらえてるでしょ?」
「…。」
「既成事実作っちゃおうか。」
彫刻みたいに綺麗な顔に貼りつけた微笑みには
悪意なんて一切感じられない。
テヒョンを変えてしまったのは
私なんだよね。
ごめん。
でも、やっぱりテヒョンとは
やっていけないよ。
むりだよ。
声に出せない言葉が、脳裏に浮かんでは消える。
私とテヒョンの唇が重なる。
嫌だ、嫌だ、いやだ
「…ない…。」
「…え?」
「…ソクジン、先生なら、そんな事、言わない…。」
震える唇で紡いだ言葉は
私とテヒョンの仲を
確実に引き裂いた。
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作者名:virgo | 作成日時:2018年6月17日 1時